• "栄先生"(/)
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  1. 鳥取県議会 2012-11-01
    平成24年11月定例会(第7号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(伊藤美都夫君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第1号から第31号までを一括して議題といたします。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  13番濱辺義孝議員 ◯13番(濱辺義孝君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。公明党の濱辺義孝でございます。通告に従い、一般質問を行います。  初めに、老人クラブ社会参加活動促進事業について質問いたします。  この事業は、高齢者が自主的に仲間づくりを進め、それぞれの地域の実態に即して小地域ごとに組織づくりをし、高齢者が共同して相互に支え合い、楽しみをともにすること、全国老人クラブ三大運動、健康、友愛、奉仕を基本とし、高齢者の生きがいや健康づくり、介護予防、地域支え合いなどの活動促進に助成する事業です。  鳥取県の65歳以上の高齢者は約15万5,000人、高齢化率は26.3%で全国平均22.7%を上回っており、4人に1人は高齢者です。15年後には3人に1人にまで進むと言われております。  高齢化が進む社会で、無縁社会の広がりからか全国で年間3万人以上の高齢者の孤独死が発生し、都会を中心に100歳以上の高齢者の所在不明が相次いで報告されるなど、さまざまな課題が浮き彫りにされています。  このような社会の中で、この事業を通し、老人クラブでは健康づくりや介護予防、地域支え合い事業などを実施し、会員の方に地域で活躍していただくことにより老人クラブ社会的認知を進めながら会員の生きがいを生み出しています。この事業の役割は大変大きいと思います。  しかし、本年8月31日に開かれた県の事業棚卸しでは、外部有識者で構成する評価者たちにより、クラブの加入率が2割程度に落ち込む中で補助継続は効果性が低いなどと指摘があり、ゼロからの見直しを求める意味で補助金5,193万円に廃止の判断が下されました。老人クラブ活動で頑張っていただいている高齢者の方々の御苦労を考えたとき、私は非常に残念だと思いました。  そこで知事に伺います。この有識者の方々はどのような人たちで、地域の現場をどの程度わかった上での廃止判定だったとお考えでしょうか。また、知事自身がこの廃止との評価をどのように思われているか伺います。  この事業は60歳から対象となっております。60歳から70歳の年齢層の方々は、地域の民生委員、自治会役員など、そして見守りを初めとする各種ボランティア活動の地域のリーダーとして活躍していただいています。高齢化が進む地域で、この年齢層の方々が地域を支えていると言っても過言ではないと思います。また、それらの方々の中から老人クラブへ加入があり、老人クラブとして地域活動に汗を流してこられました。  県の老人クラブ連合会調べによると、老人クラブ会員数は約4万3,000人で、2006年から2011年の5年間で約8,500人の減少があり、その中で市部においては約4,300人の減少、郡部においては約4,200人の減少となっています。この不況の中で、生活を守るため現役で働く高齢者の人がふえ、加入を見合わせている人なども少なくないなど、それぞれの状況により加入率は減少傾向にあるのは事実です。加入率は、市部では17%台に落ち込み、また過疎、高齢化が進む郡部でも加入率が大幅に減少していますが、そんな中でも八頭町、若桜町、江府町は加入率5割を越えて頑張っているところもあるそうです。  私は老人クラブの中で中心的に活躍されている人に話を伺いました。老人クラブを通し、健康生きがい事業、研修事業、奉仕活動などを行い、グラウンドゴルフなどのシニアスポーツ、カラオケ、芸能・趣味のレクリエーション活動、子供たちの登下校の見守りなどボランティア活動各種勉強会の実施など、さまざまな取り組みを通し、健康で元気な高齢者をふやし、高齢化社会にあって社会に負荷をかけない生き方を目指し、社会に貢献していきたいとのことでした。  この事業が廃止となれば、国からの補助もなくなり、補助の主体の市町村からの補助もなくなります。これでは老人クラブの存在が危うくなり、クラブが進める高齢者同士健康づくりや生きがい、見守り等々の事業ができなくなります。高齢者自身が自主、自発で行うことは非常に大切で、別の組織で行うより格段の効果が期待できます。このことを考えたときに、この事業の廃止はすべきではありません。  また、私は地元の地域でさまざまな行事に参加していますが、どの行事でも推進する役員の中心にこの年齢層の方々がおられます。高齢化が進む地域にあって60代、70代の方々の役割は非常に大きい。そして、この世代の人たちが元気で活躍できることが地域の安心安全、地域の福祉の活性化につながると思います。  このことから、老人クラブ社会参加活動促進事業を継続、むしろ拡充すべきだと思います。知事の所見を伺います。
     次に、通学路の安全確保について質問いたします。  本年6月定例会において、通学路の安全確保について一般質問させていただきました。京都府亀岡市、千葉県、愛知県において、登校中の児童生徒らの列に車が突っ込み、死傷者が出る痛ましい事故が発生したことにより、公明党は通学路の安全対策プロジェクトチームを立ち上げ、当時の文部科学大臣に対し緊急提言を行いました。提言の中身は、子供の視点に立って全国的な通学路の安全点検調査を行うことや学校と警察などとの連携強化、安全対策を徹底するための地方自治体宛ての通知などを早急に行うよう求めたものでした。  そして、このことを受け、教育、警察等関係各課が集まり、学校の通学路安全対策会議、また通学路の緊急安全点検連絡協議会を開催し、通学路の安全点検の結果の確認と今後の取り組み、対策について検討されました。現在は、点検調査の結果をハード面、ソフト面に仕分けられ、各関係課により対策、対応に取り組まれているところです。  しかし、省庁の通知を受けて、全ての公立小学校において合同通学路の総点検が行われることとなった一方、その対応に苦慮する声や、さらに調査結果を受けて取りまとめられる対応の検討に際しても、予算的な制約から対策がとられないまま放置しかねないという指摘がなされています。  調査結果に対し、関係各課が情報交換、連携をとり合い、全ての危険箇所に対し、ハード面、ソフト面に対応すべきと考えますが、知事、教育長及び警察本部長はどのようにお考えか、それぞれ伺います。  近年頻発している通学路での交通事故の原因として居眠り、不注意、無免許などの明らかなルール違反が多く上げられる一方、運転者のモラルの低下により、道路交通法上の横断歩道における歩行者などの優先や過労運転の禁止などを守ろうとする精神が風化しているとの指摘があります。少なくともルールを守る歩行者は車から守られることを確保するため、歩行者優先、人間優先の交通体系という理念の徹底が急務であると思います。  道路交通法における通学中の児童生徒への安全配慮義務は明確になっていません。だからこそ、危険性を予測し回避するという歩行者への交通安全教育の徹底が重要だと思います。そして運転者の意識啓発のため、自動車運転免許の取得、更新、交通安全週間などさまざまな機会を通し交通安全教育を徹底し、形骸化し、風化している安全遵守精神を強く周知徹底しなければいけないと思います。また、児童生徒、保護者に対するより実践的な交通安全教育、指導も重要だと思います。  このことについて、警察本部長、教育長の所見を伺います。  そして大切なことは、県、市町村、教育委員会、学校、警察が一体となって行った今回の総点検が一過性のものとならないために、交通事故安全対策の専門家の育成などを含め、今回の安全点検体制を継続させ、検証する体制を構築することが大切だと思いますが、知事に伺います。  以上で壇上の質問を終わります。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員の一般質問にお答え申し上げます。  濱辺議員から、まず第1点目として老人クラブ社会参加促進につきましてお尋ねがございました。その中で、まず1つ目としては今回の事業棚卸しはどういう評価者の方々で、地域の現場がどのようにわかった上でのお話だったのかと。この点につきましては、実際にその評価に立ち会いました行財政改革局長からお答えを申し上げたいと思います。  また、この廃止という評価についてどういうふうに思うのか、老人クラブ社会参加活動促進事業はむしろ拡充すべきものではないだろうか、こういう問題意識でのお尋ねをいただきました。  私もこの評価をお聞きしまして最初は少々びっくりしました。戸惑いを覚えました。と申しますのも、この老人クラブ支援の助成事業は古い事業でございまして、支援のやり方としては、これは国が行うというものでございます。県はその随伴補助でございまして、それをもとに市町村がお金をさらにつけ加えて、市町村が事業主体で老人クラブの助成を行うという事業です。負担割合も国が3分の1、県が3分の1、市町村が3分の1という事業でございまして、地方側が3分の2を負担しますが、市町村がイニシアチブを持って事業を執行していく、それについて県も相応の負担割合で応援をすると、こういう仕組みであります。かなり昔からの事業でありまして、老人クラブの支援の基幹的な事業であります。全国どこでもやっています。どこでも同じように老人クラブの加入率の低下がございますし、その活動内容について、ほぼ同じようなこと、似たり寄ったりのことをやっています。  鳥取県でいきなり廃止という判定が出たものですから、そもそもこれは市町村の事業でありますし国の補助事業でもありまして、県が余り裁量の余地を持つべき分野でもないかもしれないなという思いもあるものですから、少々の戸惑いを覚えました。  ただ、じっくりその判定の中身を伺っていますと、ゼロベースで見直せという趣旨だと、単純な廃止というものではないということだと思いました。その問題意識としては、加入率が低下しているということがあったり、それからその事業内容についてチェックすべきではないかというようなことがあったり、そうしたさまざまな意見が合成されて、表決としては廃止という判定になったということでありました。  我々も、これはいわば有識者また住民の方々の意見の代表的なものであるというふうに捉えまして、謙虚に見直しをさせていただきたいと思います。事務局のほうにはゼロベースで見直すように申し上げました。また、市町村が補助事業の実施主体でありますので市町村、それから市町村の中にあります老人クラブの皆さん、そうした方々の現場の意見をまずよく聞いて話し合うようにと、こういう指示をさせていただきました。  それに基づきまして、きょうもまさに市町村の老人クラブ連合会の皆さんと話し合いをしたりしておりますし、これまでも市町村当局や県の老人クラブ連合会等に今順番に意見を聞いているところでございます。さまざまな意見が出てきております。廃止は困るという声が非常に多く見られます。濱辺議員がおっしゃるように、組織の存立にもかかわるのではないかと、そういう危機感も持たれていることがうかがわれます。また、中には社会参加とか、そうしたことで事業を重点化することはいいのではないかと、そんなような御意見もございました。その辺を総合しまして、年明けに予算編成作業を最終的に詰めてまいりますが、私なりの結論を出して、2月県議会でお諮りを申し上げたいと思います。  ただ、濱辺議員のようなお話もございますので、廃止というふうに単純には私は考えるつもりはありません。これについては、ゼロベースで見直して中身をもう一度よく改善していくということが必要だろうと思います。その際の視点としては、いろいろと今県内でもやっているような実践例がございますので、その辺も参考にさせてもらいながら、ある程度重点化するといいますか、応援をすべきところを応援していくと、そういう体裁を考えていきたいと思います。  例えば、湯梨浜町の長和田の生き生き老人クラブは、加入率がすごくいいです。120名の加入がありまして、全員入っていると言っても差し支えないのだと思います。そういうところもございます。中は活発な事業をしていまして、健康づくりであるとか、さまざまなレクリエーションであるとか社会貢献事業であるとか、いろいろなことを手広く手がけておられまして、65歳以上、皆さんが入られてやっていると。そんなようなところもあります。その湯梨浜町では、老人クラブ連合会で子供たちの見守り隊というのが結成されまして、通学の安全確認を老人クラブ連合会としてやっておられます。  こういうようなさまざまな実践例がございまして、今回の表決自体は十把一からげにされたものだとは思いますが、我々なりによく分析して今回の事業棚卸しの提言がきっかけとなって、もっと老人クラブ運動であるとか高齢者の社会参画、特に支え合いと言われるような事業にいい効果が出てくるような仕組みを考えてみたいと思っております。  次に、通学路の安全点検についてお尋ねをいただきました。これにつきましては危険箇所のハード面、ソフト面の対応をすべきではないかということでございます。  教育委員会や警察と一緒になりまして、この辺はぜひ進めていきたいと思います。県内総点検で688カ所リストアップをしまして、そのうちの643カ所、私どもとしては終了しました。差分は全て鳥取市の市道等にかかわるところでございまして、我々としてはやるべきところは点検は終わったと思っています。169のところにつきまして何らかの措置が必要だというふうに今我々のほうで分析をいたしました。これを精力的に点検といいますか、改善を図るための所要の事業を講じていかなければならないということになります。  具体的には、例えば歩道に相当する部分をカラー舗装するとか、それこそ歩道をきちんとつくるとか、場合によってはせり出した歩道をつくるとか、そういうようなことで安全を図るということも考えているところでございまして、それを順次丁寧にやっていこうといたしております。  実は、今年度の当初予算でも9億ほどこうしたことに使える事業予算を持っております。さらに先般の亀岡の事故もございましたり社会問題化しているということもありまして、事業箇所を160カ所リストアップしましたので、ここに重点的に投資をするための特別の予算もこの11月議会に2回にわたりまして出しました。1回目は、冒頭で提案させていただいた中に2億2,000万入っていますし、さらに先日追加補正を提案しました。この中にも3,000万入っています。11月補正でさらに2億5,000万の追加を行ったということです。来年度、再来年度ぐらいで一気に仕上げてしまおうと。残り大体10億ぐらい必要かなと思っておりますが、そのぐらいの財布は用意しながら、子供たちの安全でありますので精力的にやってまいりたいと考えております。  次に、通学路の安全確保につきまして、今回の安全点検体制を継続させ、検証することが必要ではないかというお尋ねがございました。  まさにそのとおりだと思います。今回は全体あぶり出しましたので、大方その事業箇所というものは出てきたと思います。ただ、今後も交通量が変化をするとか、それから子供の数が変わるとか、通学路が変わってくるとかいろいろなことがありましょうから、せっかく市町村だとか教育委員会だとか警察等と同じプラットホームを持ちましたので、こういう場を活用して、今後とも継続してやっていきたいと思います。これは関係者にも協力を呼びかけてまいりたいと思います。  ついせんだっても、11月25日に倉吉市で非常に悲しい事故がありました。子供たちが道路を横断しているところに車が突っ込みまして、そしてとうとい命が失われてしまいました。全国ニュースでも報道された事件でございました。振り返ってみれば、平成3年の11月だったと思います。船岡におきまして3姉妹、3人の小学生が暴走した車で一遍に命を奪われてしまいました。これは緩やかなカーブだったと思いますが、曲がり切れなかったのか、それがもとで歩道をなぎ倒すようして一遍に3人の子供たちの命が失われてしまったということもあります。  こういうような悲しい事故の起こることがないように、我々としてもせめて通学路の環境整備は重点的な課題としてやってまいりたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)補足の答弁を求めます。  伊澤行財政改革局長 ◯行財政改革局長(伊澤勇人君)事業棚卸しにつきまして、評価者などその実施状況につきまして、補足の答弁をさせていただきます。  本県におきます事業棚卸しは、県の予算事業につきまして、県庁内部での点検に加えまして、県民の視点による点検を実施することで広く県民視点での意見を予算編成に活用することを目的として実施しているものでございます。外部評価者を迎えての方式は平成22年度から実施しておりまして、今年度で3年目を迎えております。  今年度の棚卸しでございますが、幅広い視点からの御意見をいただきたいということで評価者は、県内の大学の教員、さらには企業、経済界、産業界の関係者の方、さらにはNPO法人など地域活動の関係者の方などに加えまして、県民から公募で参加いただいた方を加えまして計10名の方にお願いをしたところでございます。この10名の方を2つの班に分けまして、5名ずつになりますが、これに進行整理役のコーディネーター、これは県内の大学の教員の先生でございますが、これとが対象の27事業を評価していただいたということでございます。  評価者の事業等に対する理解の御質問もいただきました。限られた時間で行いますので、かつ近年始めたものでございます。試行錯誤を重ねながら実施している面もございますが、今年度は改善といたしまして事業に対する理解をより深めていただくという観点から、対象事業につきまして、できるだけ十分な検討時間を確保するということで、昨年は70分かけておりましたが、ことしは1事業当たり100分に拡大するなど検討時間を拡充して、より議論を深めていただいたところでございます。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)濱辺議員の御質問にお答えいたします。  最初に、通学路点検結果への対応についてお尋ねをいただきました。  議員からもお話がありましたように、全国各地で登校中の小学生が死傷する痛ましい事故が相次ぎました。これを受けまして、県教育委員会と知事部局や警察本部の関係課が一緒になって取り組むということにしまして通学路安全対策会議を設けまして、これまで3回会議を開催いたしました。国の方針では小学校と特別支援学校の小学部がこの対象となっておりますが、本県ではこの安全点検の対象に独自に中学校も加えて実施をいたしました。この県の対策会議の方針に基づきまして、各市町村におきましては道路管理者、警察署、学校関係者等が連携しまして小学校、中学校、特別支援学校の小学部について危険箇所の合同安全点検を実施いたしました。この11月末に各市町村から点検結果と対策内容の報告をいただくことにしておりましたが、点検結果の多い市部から、もう少し待ってほしいという声がありましたので、現在は、これまでに市町村から報告をいただいた安全対策の内容について知事部局、そして警察本部の関係課とすり合わせを行っているところであります。  具体的なハードの対策としましては、歩道の設置や拡幅あるいはカラー舗装、また信号機の設置、交通規制の実施というものがあると思いますし、既に対策を終えたところもございます。また、これとは別に市町村や学校が行うソフト対策としまして、通学路の見直し、そして学校ボランティアなどと連携した子供たちへの安全指導などがあります。こういうことも順次対策を進めていただいているところであります。  対策を進めなければならない箇所がまだ残っておりますが、引き続きハード、ソフトの面で取り組みが着実に進みますように知事部局や警察本部と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、実践的な交通安全教育等についてお尋ねをいただきました。  議員も御指摘ございましたが、子供たちみずからが危険を予測して回避していく力をつけていくために実践的な交通安全教育を行っていくことは大事だろうと思います。  学校におきましては、通常年4回実施されます交通安全運動期間などに対応しまして行っておりますが、近年では例えば小学校で、校庭に標識や信号機を設置した模擬道路で自転車の正しい乗り方の実技指導を受けたり、あるいはスタントマンが車と自転車の衝突する事故を実演して、子供の目の前で事故の恐ろしさを具体的にわからせていく、そういう実践的な形での安全教室が開かれるようになってきております。  ただ、小学校に比べまして中学校、高校での取り組みは十分とは言えないというふうに思っております。高校生が乗った自転車によりまして、4年前には歩行中の女性と衝突いたしまして、この女性が亡くなられるという事故がございましたし、また最近でも小学生に高校生がぶつかりまして小学生がけがをするという事故も起きております。こうしたことがありますので、私は自転車の実技指導あるいは安全教育により力を入れていく必要があると考えておりますので、市町村教育委員会あるいは県立学校校長会に強く話をしていきたいと思います。  また、議員のお話もありましたように家庭での交通安全教育も大事だというふうに思っておりますので、学校で取り組んでいる内容を保護者にこれまで以上に知らせて、家庭で親子で話し合う、そして問題意識を持ってみずから対策を講じる、そういう機会をつくれるようにしていきたいと思っております。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  石田警察本部長 ◯警察本部長(石田勝彦君)通学路の安全対策につきましてお答え申し上げます。  まず、基本的な警察のスタンスでありますけれども、警察におきましては従来から通学路あるいは子供の交通安全というのは重要な施策の柱として取り組みを進めておりまして、毎年新学期の通学路の点検などの取り組みを行ってきたわけですけれども、ことしも御指摘のような事故がありまして、亀岡の事故もありましたし、その直前に祇園での暴走事故などもありまして、国民、県民の皆さんの交通安全への不安感、御要望というのは高まっているだろうと思いまして、警察の判断として、いろいろと対策を強化しようと考えて直ちに取り組みました。  さらに、それと並行しまして教育関係、道路関係者と連携した取り組みを全国的に進めていこうという流れがしっかりとできてきたわけでして、事故は大変残念でしたけれども、交通安全対策を進める上ではプラスの要因だと考えまして、この枠組みにしっかりとコミットして取り組みを進めていこうということで取り組んできたわけでございます。  具体的に警察の取り組みとしましては、まずハードとしましては標識表示あるいは信号機というものがございます。これは、道路本体の道路管理者の対策に比べれば若干機動的に行える面もありますので、どんどん行うという方針のもとで、現在警察の対策が必要と考えている箇所のうち7割ぐらいはもう既に措置をしておりますし、残った約3割につきましても年度内にしっかりと対応するという方向で今進めております。また、まだ点検が終わっていない箇所が若干ございますけれども、これにつきましても、できるところはどんどんやっていく、遅くともできるだけ年度内に済ませてしまうという方針で取り組んでいく考えであります。  ソフトの関係につきましては、日常の警察職員によるパトロールですとか、ボランティア、学校関係者の方と協力した見守り保護活動等があると思いますけれども、これにつきましても引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  ソフトの関係で一つ新たな施策を御紹介したいと思いますけれども、これはゾーン30というものでして、特定のエリアを捉えまして地域の方のエリア全体の安全を図っていくというものでして、その中に当然通学路の安全という視点も入っているわけですけれども、面的なものですね。通常、交通規制は点や線で捉えて行うわけですけれども、ある地点を捉えて、あるいは区間を捉えて交通規制をかけるということですけれども、これはゾーンとして、面としてやっていこうというものでして、一定の区域内の交通制限速度30キロに統一して行うというものです。これは全国的に今進められており、本県でも、本年度は境港市で1カ所行いますけれども、県下でこの施策を行う適当な場所があれば、どんどん進めていきたいと思っております。  大きな2つ目の御質問で、交通安全教育等の推進ということでありますけれども、これはまさにおっしゃるとおりでして、警察としましては免許を取得する場面、更新する場面、通常の広報活動、街頭での交通指導取り締まり、こういったことをしっかり進めていきたいと思っておりますけれども、御指摘のとおり歩行者優先といいますか、歩行者への配慮ですね、これは道交法でも横断歩道については歩行者優先ということが規定されていますけれども、確かにそういったものがはっきり浸透していないという面がございます。ですから、そういったことも含めまして、免許の場面でのいろいろな講習、教育をしっかりやっていきたいと思いますし、広報啓発もいろいろやっていきたいと思います。  交通指導取り締まりの中では、横断歩道での歩行者妨害という違反がありまして、横断歩道を本来優先して歩行すべき歩行者の歩行を車両が妨げた場合違反になるのですけれども、これは実際に取り締まりをやっています。強化してやるようにしております。そういったことも含めまして、歩行者が優先するということを現場でも徹底して守っていただけるような取り組みを進めていきたいと思っております。  こうした取り組みをいろいろ総合的に進めまして、御指摘のような交通安全教育の充実を図っていきたいと思っております。 ◯議長(伊藤美都夫君)13番濱辺義孝議員 ◯13番(濱辺義孝君)それぞれ答弁をいただきました。  それでは、さらに質問をさせていただきます。初めに、老人クラブ社会参加活動促進事業について質問させていただきます。  この老人クラブの事業におきましては、老人クラブが主体的に、また自主的に高齢者が元気になるためのさまざまな活動を企画立案して頑張っていただいているところでございます。今、社会の中でも、先ほど壇上でも申しましたように高齢者の方々、元気な方は本当に元気で、100歳でもマラソンを走っている方もおられますし、さまざまな元気な方がおられます。でも、その反面、高齢化が進み、そして独居老人がふえてきたこの時代の中にあって課題が大きく見えてきたところもあります。  また、先ほどの通学路のこともありますけれども、見守りという部分で、今回事業主体は市町村でありますけれども、やっぱり今の社会的な課題に対して県のほうから、せっかく補助金を出すのであればここに、今までも続けていただいているのですけれども、さらに強く、これから高齢化が進む、また私たちの財産である子供の命を守るために、この見守り活動に積極的に取り組んでいただくように老人クラブに申し入れてはどうかと思いますが、この点、知事いかがでしょうか。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  おっしゃるとおり、老人クラブの皆様はこれまでも社会的責任を果たすような事業をやってこられました。議員の御指摘も踏まえて、そういう社会貢献事業を積極的に展開していただくように老人クラブの皆様にも働きかけたいと思いますし、それをまた地域全体で財政支援の面も含めて応援する、これに先ほどの老人クラブの支援の助成金を運用上適用していくとか、そういう形を考えていけばいいと思います。  ことしも私どものほうで創造した事業でありますが、老人クラブの皆様等が主体になりまして支え合いを高齢者の方がやるという事業を始めました。琴浦町と伯耆町でモデル的にスタートしております。この中で、琴浦町さんは子供たちの見守り活動もされておられます。また伯耆町のほうでも、声かけ運動というのですか、安否確認だとかそうしたこと、災害時の要援護者対策、こういうことを老人クラブの皆様に率先してやっていただくと、そういう支え合いの事業を始められたところでございます。こういうことに県のほうでも支援をしまして動き始めたところですけれども、このようなことを全市町村で展開していただけるように、そういう枠どりといいますか、補助事業の運用をやってみればいいのかなというふうに思います。  実は、高齢者の皆様はそういうふうにみずからの力を生かしたいと考えておられるわけでありまして、濱辺議員も接されたと思いますが、そういう声が先方にもあるわけであります。そこが、まだ潜在的な力として鳥取県内、十分生かされてこなかった。しかも、これから高齢化がどんどん進んできますので、どんどん高齢者の比重が高まってきます。元気な高齢者が老人クラブに4万人以上加入しているわけでありますが、こういう方々の力を生かさない手はないと思います。それは高齢者の方々にとっても健康づくりや介護予防にもなるわけであります。社会貢献をするということは、すなわちそういう面もございますので、もちろん健康づくりとか相互の親睦だとか、いろいろな事業をやって老人クラブの結束を高めて、引きこもり老人を町へ引っ張り出すというのは大切なことでありますから、そうした事業をやっていただきたいと思いますが、その中で一環として支え合い、社会への貢献ということを重点的に考えていただけるように話し合いをしてみたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)13番濱辺義孝議員 ◯13番(濱辺義孝君)2番目に通学路の安全確保について、知事にさらに質問を予定しておりました内容が予算の関係でした。先ほど答弁の中で、予算をしっかりとってこれからもしっかりと進めていくという知事の答弁をいただきましたので、知事に答弁を伺うと言っておりましたけれども答弁をなしに、ただ私自身が強くお願いしたいのは、鳥取県というのはどちらかというと他県に比べて交通事故が非常に少ない県です。でも、少ないけれども、自分も含めて、道路を車で走っていると非常に危ないことに出くわしたりとか、ドライバーの方を見ても、いつ交通事故が起きてもおかしくないようなことが多々あります。だから本当に今回この通学路のことを通してではありますけれども、やっぱりそういうことを意識して、交通事故が少ないからといって油断するのではなくて、先ほど知事の答弁でもありましたが、しっかりと今後も継続的にやっていただくのであれば、事故が少ないから年数がたつと薄れがちなことが多々あると。自然に消滅していったりとかそういうこともあるかと思うのですけれども、やっぱり私たちの地域の宝であり日本の宝である子供を守る意味でも、継続してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  最後になりますけれども、今回高齢者の方、また子供の通学路の質問をさせていただきました。特に私自身、地域の中で生活していますと、高齢者の方々とお話をしていると、やはりいろいろなことを学ばせていただきます。人生の経験が本当に長い分、いろいろな意味で、人との触れ合いの中でいろいろなことを勉強させていただきます。だから、この人たちが元気になるということは、まさしく今の高齢化が進んでいるこの鳥取県においては大切なことだと思います。どうか、今回この事業が廃止ということがないように、そしてこういう人たちへの希望が持てるような対策をしっかりととっていただければと思います。今回、交通事故の問題でいろいろ質問させていただきました。本日は以上で終わります。ありがとうございました。 ◯議長(伊藤美都夫君)10番浜崎晋一議員 ◯10番(浜崎晋一君)(登壇、拍手)鳥取県議会自由民主党の浜崎晋一です。通告に従いまして、農福連携の推進について質問させていただきたいと思います。  我が国経済は、リーマンショックからの回復の途上に起きた東日本大震災、さらに海外経済の減速や円高などを受けた企業の業績悪化によりまして、雇用、所得環境ともに先の見通せないトンネルに入ったままであります。  障害福祉サービス事業所も雇用経済情勢悪化の影響を受けまして、企業などからの受注量が減少し、就労事業による収益に悪影響を及ぼしております。加えて障害者の雇用環境も同様に改善の兆しが見られず、厚生労働省の就業実態調査によりますと、障害者就労の割合が4割しかないとの結果が出ております。  このような状況下におきまして、鳥取県では平成19年に工賃3倍計画を策定されました。平成23年度までに月額3万3,000円を目標に掲げ、福祉事業所へのアドバイザー派遣や新商品開発の補助金などの支援に取り組んでこられたところであります。  9月26日付の日本海新聞によりますと、県内109事業所の平均月額は約1万5,300円で、目標には届かなかったものの5年間で4割アップしております。私は一定の評価をしてもよいのではというふうに思っております。  しかし、今後もっと工賃を上げていくためには、鳥取県が全国に先駆けていち早く取り組んだ農福連携をより一層推進していくことが鍵となるのではないでしょうか。  私は、平成23年2月議会において、農福連携を取り上げて質問させていただきましたが、農福連携事業がスタートしてから2年半が経過したこのたび再び質問させていただきたいと思います。  ここで改めて県が取り組んだ農福連携事業について御紹介しますと、この事業は障害者の農業分野への職域拡大を目指し、平成22年度から2カ年間のモデル事業としてスタートしました。農業や水産業などと福祉事業所のマッチングを行うコーディネーターを県内の東・中・西部3圏域ごとに配置したマッチングセンターを設置いたしました。モデル事業が終了した今年度は、コーディネーターを9名から3名にスタッフ体制を縮小して継続しておられます。  これまでの成果として、コーディネーターのマッチングにより平成22年度に延べ4,083人、平成23年度には6,961人、平成24年9月末現在でありますが2,315人の障害者が農家などから除草作業また収穫作業などの農作業を受託して取り組んでおられます。  また、全福祉事業所の平成21年度から平成22年度の工賃上昇率が7.4%であるのに対して、農作業に取り組んだ福祉事業所の工賃上昇率が11.1%となっております。農作業受託による工賃向上への寄与が確認をされているところではないかと思います。さらに、農業を主体とした事業所が複数新設されるなど、農業が障害者就労の場として定着しつつあるのかなと思うところも一つの成果であります。  一方で、ことし9月に県が発行しました「鳥取発!農福連携モデル事業事例集」に掲載されている農業分野への取り組みについてのアンケートによりますと、全体の45%に当たる福祉事業所が農業には取り組んでいない実態があります。また、農業に取り組んでいない理由として、利用者の特性として不向きなため、農業以外の就労事業に今後も取り組み方針があるためなどが上げられております。実際に私も関係者に伺いました。事業所側としては、短期間のスポット作業で主要事業として年間計画に組み入れられない、ほかの作業をしており受けられないとの話でありました。  農福連携事業については、成果があった一方でさまざまな課題が見えてきたと思いますが、現時点での農福連携についての知事の評価をお尋ねします。あわせて、ほかの工賃向上施策に対する評価についてもお尋ねをしたいと思います。  さて、私は前回の質問で農業者と福祉事業者が互いにウィンウィンの関係を築くことの重要性について指摘をさせていただきました。県はウィンウィンの関係構築に向けて実際に農作業の受委託を行い、お互いの立場や事情を理解するための環境づくりに取り組んでおられますが、さらにその関係を強固なものとし、農福連携のステージをもう一段上げるためには、農福連携で生産された農作物、加工品を市場に流通させていく施策、例えば小売店等とのマッチング支援であるとか、農福連携食品としてのPR等販路開拓の支援もしながら福祉、農林、商工等の各部局が連携して行う必要もあると思うのであります。農業者としても流通段階でメリットを見出されれば農福連携に対する関心がふえると思います。また福祉事業所側も販路開拓、販路拡大による所得向上が望めると思うのであります。ただし、単に販路開拓支援という視点だけではなくて、農業者、福祉事業所双方にとってメリットと感じられる仕掛けをしていくことが必要なのではないでしょうか。  今後この取り組みが軌道に乗っていけば、将来的には行政の力をかりなくても民間だけで事業を推進していくことができると思いますが、知事の所見を伺いまして、壇上からの質問とさせていただきます。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎議員から農福連携事業と障害者福祉につきましてお尋ねを賜りました。  まず第1点目としては、農福連携について成果もあり課題もあるのではないか、現時点での評価やいかんというお尋ねでございます。  これにつきましては、平成23年の2月の議会ですか、浜崎議員ともこの場でやりとりをさせていただきました。鳥取県として新しい福祉のあり方を鳥取県らしく農業、さらには水産業だとか林業だとかも含めて、そういうものと組み合わせて展開していく必要があるのではないか、それができる環境にもあるのではないか、こういう夢を持ちながら始めた事業であります。平成22年度、23年度とモデル事業でマッチングをいたしました。それぞれ100件ぐらい実績としてのマッチングがございました。そのマッチングしたうちの最初の22年度は13件、23年度は20件がその後も継続して、マッチング後もモデル事業の後も続けてこの事業をやっておられます。かなりの成果が出始めているのではないかと、そんな手応えを感じるようになってきております。  例えばいろいろな事業がございますけれども、和貴の郷さんというところでも農林水産業との連携事業もやっておられまして、ついせんだっても東京でハタハタのイベントをやったわけです。それで、さかなクンも応援に来て、秋田県とどっちがおいしいかという、結局引き分けになるというありきたりのストーリーなのですが、そういうイベントをさせていただいたわけでありますが、そのとき実は鳥取から持っていったハタハタは完売しました。網代からも持っていったハタハタがございましたけれども、あっという間に売れてしまいまして、2日目はほとんど在庫がないという状態でありました。そこに和貴の郷さんも出ておられたのです。ハタハタの一夜干しのようなものもございましたし、さらにはカナガシラという従来余り使っていない、岩美とかで揚がるのではないかと思いますが、そういう魚を活用した製品を開発しまして、これも鳥取県の新商品開発の適用事業なのですけれども、それを売り出していました。  また、鉄永議員も議論されておられましたけれども、ラッキョウとか重点的にかなり取り組みが広がっているようなところもございまして、鳥取県でこういう農福連携事業が進展をしてきて、さまざまな事業所にメリットを与えているという実感も出てきております。  実は、その裏には経済情勢も手伝っているわけです。それは、今製造業、物づくりに陰りが見えてきました。実は鳥取県の作業所は結構下請的に、いわば単純作業のような工程を作業所でやって、それを工賃のほうに反映をさせてきた、そういうやり方をしてきたところが少なからずございました。土地柄だと思います。例えばそういう中でも農業分野、この農福連携を活用して今、経済状況が変わってきましたので製造業も、そういう特に単純作業は海外へと逃げていく傾向がございます。これが作業所には深刻な影響が出ていまして、どういうふうに受注していったものかと頭を悩ませている時期に、この農福連携事業というのを当方が始めたわけであります。これを活用されまして、農業分野のほうにも展開をされ始めた例えば敬仁会館さんとか白兎はまなす園さんだとか、そうしたところは従来の下請作業所というところから脱皮をするといいますか転換をして新しい事業に農福連携を活用されるところも出てきております。こんなように、いわば時宜にかなったような事業展開だったのかなというふうに考えております。  ただ、議員のほうでもアンケート結果の御発言がございましたが、別の事業をやりたいところは農福連携を無理してやってもらう必要はないわけでございまして、そちらのほうで通所者の方がもっと喜ばれる事業をやられたらいいと思いますので、そういうところはいいと思いますが、ただやっぱり通年で作業受託があるかどうかというと、どうしても季節的な限りがあったりとか、それからやろうにも、やっぱり技術面だとか、機械がちょっとあったほうがいいとか、そういうようなもう一段上のステップがないとなかなか難しいなというような事業所があるのもまた事実だと思います。そういうところとのマッチングも根気よくやったり、必要な追加の支援事業とかも考えて展開を図っていけばいいのではないかと考えております。  また、農福連携事業以外の工賃向上施策はいかがかということでございますが、これも平成19年度から工賃をどんどんふやそうという事業を鳥取県では展開してきました。国全体は工賃倍増計画ということを言いましたし、我々のほうは3倍増という言い方をして工賃の上昇を図ってきました。結果として、大体4割ぐらい工賃が上がってきています。その背景には我々の展開してきた事業があったわけでありますが、例えばアドバイザーを派遣して買いたくなるような商品をつくる、そういう作業所を育てていこうということをやりました。また、ハートフル事業としまして新商品の開発の補助金とか無利子融資を金融機関とタイアップしてやる、そういうハートフルの融資事業であるとか、他県にはない事業も展開をしてきました。こうしたことで事業分野の付加価値が向上したことの結果だと思いますが、おかげさまで工賃が向上してきたというところがございます。  例えば、あかり広場さんという米子の皆生のほうの作業所さんもパンの機械を買われまして、これで収入がふえました。4倍ぐらいに工賃がふえているところでございます。さっき御紹介した和貴の郷さんも4倍ぐらいに工賃がふえている。こういうように、ここ5年ほどで大分様子が変わりつつあるかなというふうに思います。ただ、これでは足りませんので、もっともっと障害者の方が社会参画として一定の工賃収入を得てやっていける、そういう環境をつくっていかなければいけないだろうと思います。
     実は、こうした鳥取県の急成長ぶりを裏づけるような出来事が先般ございました。我々、関西広域連合に入っておりまして、そんな御縁もあってなのですが、関西一円でのお菓子とかそうしたもののコンテストがございました。障害者の作業所のコンテストであります。当然ながら鳥取県は人口規模が小さいので、関西一円でやりますとなかなか勝ち抜くというか評価されるのは大変なわけでありますが、そういうコンテストで鳥取県から2つの作業所が出ていきました。ぱにーにさんとののなさんであります。その場所におきまして審査員も出て評価を加えるというコンテストでありましたけれども、4位、6位という高順位を得ました。実はそれだけではなくて、その場でそれを食べられた市民の方々、試食された方々の投票があるわけです。いわばB-1グランプリみたいなものでありますが、その方々のこれがおいしいという投票では、ぱにーにさんの種実のちからというのが1位だったのですね。それからもう一つ、ののなさんの米粉を使った清流そだちというスイーツなのですけれども、これが3位でありました。だから並みいる関西一円の作業所の中でそれだけ評価される、一般の人が食べておいしいな、買ってもいいなと思えるようなものが出てきたということであります。  こういうようなことで一定の成果もあらわれつつあると思っておりまして、農福連携だけでなくて、こうした新商品開拓等による作業所の活性化、そうしたことも積極的に展開していってはどうかと考えております。  次に、農福連携のステージを上げるためにはPRだとか福祉、農林、商工の連携等が必要ではないか、販路開拓というようなことでもメリットが感じられる仕掛けをつくっていくべきではないかということでございます。  これにつきましては、いろいろと関係方面と相談をして展開をしていければというふうに思います。実は農商工連携のほうでも販路開拓の促進のいろいろな仕組みがございます。これを農福連携の商品についても適用可能だと思いますし、そういうことでの応援もできるかなというふうに思います。また、店舗によっては農福連携ででき上がった商品、そういうものを陳列するようなイベントもあってもいいのではないかというふうに思います。いろいろと私どものほうでも応援をして農業者、福祉双方にメリットが感じられる仕組みというのを考えていきたいと思います。  実は農福連携自体が双方のウィンウィンの関係をつくるということから出発したものですから、参加された農業者また福祉関係者にはおおむね評判がいいです。やはり農業者のほうから言いますと、水産業者もそうでありますが、手間がかかるわけです。手間がかかって、それを雇うということになりますと結構お金もかかってしまう。作業所の皆さんは非常に熱心に仕事をされるわけです。ですから、今までこういう出会いはやっていなかったけれども、やってみると正直経営的にもリーズナブルでありますし、それから一生懸命仕事もしてくださいますし、何より参加される障害者の方々の生き生きとした様子がまた農業者のほうにも勇気百倍湧いてくるということにもなります。いい出会いなのだと思います。障害者のほうからしますと、今こういう景気の動向の中でどうやって収入を得ていくかという難しさがあるわけでありますが、鳥取県の風土になじんで決してなくなることがない農林水産業の分野に食い込んでいくというのは障害者のほうからしても十分に将来性もありメリットもあるところであります。そんな意味で、お互いにメリットを感じる仕組みができたからこそ広がりが出てきたのだというふうに思います。  もっと議員の御指摘のような売れ筋の商品を開発する、これは福祉の施策もありますし農商工連携の施策もありますので、そうしたことを積極的に適用して、いろいろ関係者の方の御意見も聞いて、もっともっと進化させていきたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)10番浜崎晋一議員 ◯10番(浜崎晋一君)知事、答弁ありがとうございました。改めて共有させていただいている部分が多いなというふうに納得もさせていただきましたし、知事のこの分野における意気込みをしっかりと感じさせていただいたというふうに思っております。  いろいろな問題はこれから多々出てくると思いますが、やはり光が一点だけではなくて、満天の星空のようにいろいろなところで輝いていく、それをつなげていく、そういった作業ができたらなというふうに思うわけであります。ありがとうございました。  それでは追及させていただきます。今知事がいろいろ答弁されたこともまた追及の中で入れ込んで話をさせていただくと思いますが、よろしくお願いをいたします。  農林水産省農林水産政策研究所というのがありますが、農村活性化プロジェクトの一環として平成21年度から3年間かけていわゆる福祉事業者側、社会福祉法人であるとか特例子会社であるとか、そういったところの農業分野への進出の影響を調査研究しておられます。例えば農村地域社会そのものであったり、それから地域農業に及ぼす影響であったりということであります。この報告では、農業活動を実施している福祉事業所が41%に上っている。全国的にも今後増加することが見込まれている。大体想像がつくところであります。  ここで、障害者就労の事例を幾つか御紹介申し上げたいと思います。  お隣の岡山県玉野市にのぞみ園という福祉事業所があるのですが、36アールの耕作放棄地を再生し、地域の農業者の指導ももちろん受けながら、小豆、ソバ、モチ米、耕作放棄地の再生ということを一つのテーマにしてやっておられます。また特別支援学校の生徒さんを農業実習生として受け入れをされて、そのことについては農業高校と連携して農機具の改良であるとか地域住民との交流というのももちろんやっておられます。いいことだなと感じました。  同じく岡山県岡山市ですが、花壇用の苗を栽培、販売しておられる農家があります。これは障害者との交流を始めたことを契機に、逆に農作業を受託する福祉事業所をみずからつくられました。そういったところもあるのですね。農業側の方が福祉事業所をつくった。障害者にとって当然働きやすい職場環境づくりに取り組んでおられるというような事例もございます。  このように農業分野での障害者就労の増加がある中で、農林水産政策研究所の報告では、農業に関する知識や技術の習得、農業を行える専門スタッフの確保に対応するために、福祉事業所と地域の農業者との連携やその構築に向けた支援がこれまで以上に求められるということを結論づけておられます。  現在、県内でも先ほど述べたように農業を主たる事業として設立、または設立予定の福祉事業所もふえつつあるようでありますが、農林水産政策研究所の報告にあるとおり、農業に関する知識や技術の習得、農業を行える専門スタッフの確保が十分にできていないという課題も見えてくるというところであります。  外部人材でやる栽培指導の有償ボランティア、これもいろいろと県のほうも取り組んでおられます。結構なことなのですが、これも一つの方法であるとは思うのですが、農繁期と重なったときに頼んでも来てもらえない。やっぱりプロパーが重視される。それはわかりますけれども、気持ちはというようなことだと思うのです。これはしようがないと思うのです。そういったこともあれば、改めてやはり内部人材をスキルアップしていく、これがやっぱり最も重要だろうというふうに思っております。知事の思いからしても、当然この原点をしっかりと大事に育てていくということが大事なのだろうと思います。  県も農福連携モデル事業の中で、平成22年度から23年度に実習や研修を実施されておるのですが、福祉事業所の職員向けの農業実習や研修会をこの際テスト的に、定期的に開催するというようなこともあってもいいのかなと思ったりしております。それが目的になっているということではいけないわけですが、そういったこともちょっとやってみてはどうだろう。ただし、農業実習というのは昼間の開催になりますので、実習に参加しやすい環境づくり、そういったものも同時に必要になるのではないかと思います。  いずれにしましても、県として福祉事業所が農業参入する際の障壁を少しでも取り除けるよう支援していく必要があると思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。  それと、農業を始めるなら単に農産物を生産して出荷するだけではなく、付加価値の高い6次産業化をしっかりイメージしておいて参入することが当然ベストであるとは思います。先ほどいろいろと農商工の話がありました。徐々にということだと思います。それは焦ったらいけませんし、なかなか難しいかもしれませんが、やるとなれば、先ほど知事もおっしゃったようにノーマライゼーション、社会参加、そういった大前提からすれば、この程度で、この程度でというようなことではなくて、そういったやっぱりイメージをしっかり抱いてやることが必要なのではないかというふうに思うところであります。  農業者には県の6次産業化事業があります。申し込みが多数ありまして、農業に取り組む福祉事業所が応募困難な状況にある。決して門前払いとかそういうことで県がされているということではないと思います。ただ、やっぱり状況は非常に厳しいというところはあるようであります。  そこで、県の6次産業化事業に農福連携枠を検討してみてはどうかと思っております。国や福祉関係財団等の設備投資予算が削られている現在、有効な手段だと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  まず、農林水産政策研究所の御指摘を踏まえまして、事業所向けに農業実習とか研修会を定期的にやってみてはどうだろうかということでございました。  私も賛成でございますので、ぜひ関係機関とよく協議して、そういう場ができるようにしていきたいと思います。  実は、鳥取県もこの農福連携をスタートさせたときに農業大学校で農福連携のための基礎研修講座をつくりました。これは初年度で終わってしまっておりまして、来年度以降ももう一度立ち上げるような形で、本格的に実習できる場所というのをつくっていく必要があるかなと思います。また、その研修だけでなくて、農業改良普及所等もバックアップに回って、農福連携でやるところ、さらには議員の御指摘は恐らく農業参入をしていく事業所のところまで視野に入れてということだと思いますが、農業に本格的に参入してみずからやっていくというところも育てていく必要があるのではないかと思います。  実は、この農福連携事業を私のほうで思いついて始めるそのきっかけは、大山町にございますけれども柿木村共同作業所さんとかストーク作業所さん、榊原さんとか山根さんとかそうした方々がやっておられるところがございます。大山のちょっと山へ入ったところと、あの大きな風力発電の矢羽根が回っている下あたりにございます。ストークさんのほうは、トマトとかサツマイモとかそうしたものをつくっておられました。障害者の方が実に生き生きと畑に出て楽しそうにされているわけです。収穫されるものができますので、それがまた非常にうれしいという喜びを感じておられる様子がよくわかりました。確かに単価的には、製造業の下請で工賃を稼ぐというのと比べると一つ一つの単価は安いのかもしれませんが、実は鳥取県にはこういう素材があるのだなと思いました。また、柿木村のほうでも今はやりの藻塩を海からつくられてみたり、またほだ木、ほだ場をつくりましてシイタケの収穫をされておられました。こういうことが障害者の方の適性にも合うのですね。この辺が目からうろこのところもございまして、こういうようなことで、非常に無理なく障害者の方の就労の場として使えるのではないかと思ったわけです。ですから、これを全県的に展開できないだろうかということで農福連携ということを始めました。  今ではそういうところへ乗り出している作業所さんがふえたり、また農業というのを専ら目的としてやられるところも出てきております。鳥取市のフェリースさんではナタマメ茶の生産とか販売等もやられていますし、さらに新しい素材として今、伯州綿をやろうということもされていまして、当然ながらこういうのは今おっしゃった内部人材でなかなか難しいところもありますので、普及所が後ろから支援をしていくと、県のほうの支援ということもやりながら、技術をそこに持たせていくということも始めているわけであります。  こういうようなことで定期的な研修であるとか、それから普及所等の支援でぜひこうした動きを定着させていきたいと思います。確実に年々ふえて広がってきておりますので、我々としても応援をしていきたいと思います。  次に、ノーマライゼーションということを進めるのはいいわけではありますけれども、県としての6次産業化事業というものがあるけれども、いっそここに農福連携枠をつくってみてはどうだろうかと、国とか福祉の予算が限られているということで、いかがだろうかということでございます。  これは農林水産部局のほうにも確認をしましたけれども、特にハードルを高くしているわけではないと。むしろ具体的な相談に乗っていきたいというように言っております。ですから、そこはこちらのほうからむしろ迎えに行くような形で、必要なところには積極的に私どもの農商工連携の部局、6次産業化の補助担当のほうも出かけていって話を聞いていくようにさせていただきたいと思います。  ただ、実態を申しますと、農福連携の関係では3分の2の助成措置が実は県のほうの支援でございまして、こちらのほうが2分の1の6次産業化よりも有利なところもございます。ですから、関係者はどちらかというと農福連携のほうに向かっているのかもしれません。新商品開発という手だてがございまして、これはその3分の2の助成もあれば、先ほどのハートフルサポートの融資もございますし、利用しやすいということではないかと思っております。  ただ、いずれにしましても議員の御指摘もございますので、そういう6次産業化の施策も関係者に情報が届くように工夫してまいりたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)10番浜崎晋一議員 ◯10番(浜崎晋一君)ありがとうございました。また前向きな答弁をいただいたと思います。6次産業化の農福連携枠というのは、予算の話は、いろいろと機械化についてというようなことでハートフルのそういった銀行融資であるとか特別に3分の2ということは認識をしております。ですから、予算というよりは──それは3分の2プラス2分の1、両方いただければということはあるかもしれませんが、そうではなくて、私があえてこれを申し上げたというのは、予算は予算ですけれども、やはりそれに甘えているだけではいけないと思いますし、福祉事業所側の皆さんからいろいろなお話を聞いたのですが、やはりウィンウィンでなかなか難しい部分はあるけれども、ひとり立ちしていかなければいけない、直接やっていけるような、そういったレベルということがありますので、お迎えに行っていただくというお話がありましたので、それが歓迎できる、お迎えに来ていただいてありがとうございますというようなレベルに、やはり福祉事業所さんもしっかりと障害者の皆さんと一緒になって、そういったレベルの内部スキル、なかなか難しい部分があるということは知事もおっしゃいましたけれども、そういった部分で、やはり連携枠に入るというところのその意味合いというのが非常に大きいのではないかというふうに思って、そのことを申し上げたということでございます。  次に、実は事例集にも掲載をされておりますが、ラッキョウの植えつけや根切り作業について、私、お話を伺いに先日JA鳥取いなば福部らっきょう生産組合に調査に行かせていただきました。その際に組合の方が言われていたのは、ラッキョウの植えつけや根切りの作業は限られた期間内にということで、先ほど知事の答弁にもございましたけれども、年間を通じてずっと継続してというようなことはなかなか難しいわけなのですね。それで、その限られた期間内でラッキョウの作業を行う必要がある。そうすると、土日も人手が欲しいです。ところが、土日というのは福祉事業所のほうのスタンスからいいますと支援員といいますか、そういった関係者もなかなかそこのところは難しい部分がある。ですから毎日決まったロットをコンスタントに処理することが求められているということを改めて感じたところであります。  先ほど知事の答弁にもございましたが、平成23年6月議会での我が会派の鉄永議員の代表質問を受けて、県では複数の福祉事業所が共同で作業を受託して処理できる量をふやす試みも行われたところでございます。しかしながら、福祉事業所では農家側が求める作業量をまだまだ確保できない。今申し上げたようなことでございますが、そういう課題もあるように伺いました。ラッキョウの根切り作業は、ほかの農作業に比べて工賃の高い作業ではないかと思います。農福連携事業や工賃向上をさらに進めていくためには、農家のこうしたニーズにも対応していくことが必要だと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。  農福連携事業にもちろん関連してですが、先ほども答弁にもございましたが、知事はかねがね農業だけではなくて水産業モデル事業化、ハタハタの話でそれは引き分けだったということがありましたが、農福連携はウィンウィンということでありますので、そういった意味合いでの話で申し上げますと、ワカメや水産品の加工も福祉事業所では徐々に出てきているようであります。そうなると、やはり障害者側もこの連携事業を通じていろいろなことができるというのは、改めて知事もそれはお感じになっていると思います。そういう発想に立って仕事を見ていけば、まだまだこの分野も連携の可能性があるのかなというふうに感じております。ハタハタの話から、当然鳥取県漁協と連携というようなことも含めての話になると思いますが、水産業との連携ももっと進めていくべきだと思いますので、知事の所見も伺いたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎議員から重ねてお尋ねをいただきました。  まず第1点目はラッキョウについてでありますけれども、植えつけや根切り、そうした比較的工賃が高いと思われる事業について農福連携が進むように対応していく必要があるのではないかというお尋ねでございます。  これも以前鉄永議員だったですか、お話もございまして、実はラッキョウの生産地域で話し合いも進められております。10月にも福部のらっきょう生産組合の湯邨会長さんだとか、そうした方とかJAの福部の支店とか交えまして、うちのほうの農業担当や福祉担当、一緒になりまして話し合いもしました。そこでいろいろと問題点もわかってきました。きょうの御質問もございますので、早速対策を考えてみたいと思います。  ラッキョウにつきましては幾つか隘路があるわけでありますが、一遍に集中してくるわけです。しかも半端ではない数が出てくるわけであります。繁忙期のこなし方というので農家が悩んでこられたわけです。そういう意味で、共同化を進めるとかということをやろうというのを今までも手がけてまいりました。さらにもう一歩を踏み出すのであれば、土日でも作業をしてくれるという事業所さんがあるのであれば、その土日のいわば支援員、支援される方々、そうした方々の人件費助成といいますか環境づくり、そういうこともあってもいいのかなと思います。そうすると、なかなか日にちが合わなくて、ラッキョウをとったらすぐに根切りというところに向えなかったところが動けるようになる可能性が出てくると思います。また根切りについても、今障害者の方でも扱える安全な機械があります。この機械を導入すれば、もっと効率よく作業ができますよと生産組合側からのお話もございまして、ではそうしたものを導入する経費助成を県のほうでも考えてみてはどうかなと今思っております。  こういうようなことで、生産地と幾つもの作業所がタイアップして一緒にいいラッキョウを生産して、効率よく、しかもリーズナブルに価格競争力もあってできるような、そんな体制をつくっていけるのではないかと思っております。これは当初予算でまた改めて御提案をさせて、協議をさせていただこうと思います。  次に、水産業も連携をもっと進めるべきではないかというお話がございました。これにつきましては、詳細は福祉保健部長から具体的な事例等を御紹介をさせていただいたり、今後の取り組みの方針を申し上げたいと思います。  最近参入されてきたところで、東伯けんこうさんがございます。今いろいろとブームにもなっていますけれども、アゴのふりだしがございますけれども、トビウオを前処理として加工しなければなりません。例えば尾びれとか背びれとかを取るとか、うろこを外すとかそうした作業が、トビウオ一つ一つは小ぶりなものでありますから大変な手間がかかります。水産業の場合は皆さん海でとるのが仕事でありますから、おかの上の仕事というのはいわば邪魔ではないですが、必要なのですが、そこに余り手をかけられないというところがあります。そこのところを東伯けんこうさんが受託をされまして、道具を使ってやるようになられました。最初は大変だったみたいですけれども、非常になれてこられて、いい成果が出ているということでございます。また、最近ではさらに、これからもう一つ別の世界ということでサザエの処理も始めておられるということでありますが、漁協のほうからも非常に評判がいいというふうに伺っております。  こういうように、いろいろなジャンルでまだまだマッチングの機会というのはあると思いますし、障害者の方が笑顔で働いておられる現場というのをあちこちでつくっていけるのではないかというふうに考えております。 ◯議長(伊藤美都夫君)補足答弁を求めます。  林福祉保健部長 ◯福祉保健部長(林由紀子君)補足答弁をさせていただきます。  先ほど水産業との連携につきまして知事からも少し御紹介がありましたが、東伯けんこう以外にも、例えば東部でありますと鳥取市の鹿野町で、すずかけという事業所さんが板ワカメとかワカメのふりかけ、テングサ、アカモクの加工といったものを県の漁業協同組合さんの協力をいただいて商品化、そして自主生産して販売をしているということで、このアカモクにつきましては県の新商品開発補助金を利用して行っておられます。それから鳥取の砂丘福祉作業所では、一夜干しのエテガレイとかするめ、ハタハタ、そういったものの加工技術を習得されまして、加工作業の受託とか自主製品の製造そして販売、これも県の新商品開発補助金利用をしていらっしゃいます。それから岩美町の岩美かたつむり工房では、大体6月から8月まで毎週土曜日開催の朝市に合わせまして定置網漁の魚の荷揚げ作業、その仕分けや箱詰め、そして朝市会場の設営、販売等を漁協から受託をしていらっしゃるといったことであります。そして、この岩美のかたつむり工房さんなどの場合は、事業所さんの声として、地元での取り組みでもあり、協力して地元を盛り上げることができてうれしい、それから利用者も意欲があって、社会参加ができるので、ぜひ続けたいといった声。それから漁協さんのほうからも、魚の選別がだんだんと上手になったというようなことで、接客でも笑顔が出るようになり、いい雰囲気がつくれている、来年もぜひ一緒にやりたい、こんな御意見も出ております。  県といたしましても、水産業との連携は農業との連携に比べたらまだまだ事例が少ない実態がございますので、今後も漁協さんとも連携しながら、マッチング事例をさらに蓄積してまいりたいと考えております。 ◯議長(伊藤美都夫君)10番浜崎晋一議員 ◯10番(浜崎晋一君)最後にさせていただきます。知事からは機械化部分で経費助成というようなことで、来年度の当初予算というお話も出ました。ぜひしっかりとそこの話をしていただきたい、進めていただきたいというふうに思います。  部長からもいろいろ具体例が出ました。やはり知事からも出ましたけれども、いろいろなジャンル、マッチングをしていく中で本当に福祉事業所側の障害者の皆さんから笑顔がというお話がありました。私は本当にその笑顔を心待ちにしておりますし、もう一つウィンウィンということでいえば、その笑顔が今度は農業者側からも水産事業者側からも出て、ちょっと語弊があるかもしれませんが、本当にそれがどや顔に変わるぐらい、やったぞと。それぐらいの、やはり実質の部分での積み上げというものがぜひあってほしいなというふうに期待をしているところであります。  現在の農福連携の状況というのは、余り焦ってもいけませんが、やはりどうしても単なるスポット、農作業を掘り起こしてマッチングしていくだけの──先ほど知事のほうから物づくりのということがありましたが、下請作業という部分については指摘があったわけですが、どうしても今はそういった下請作業をふやすだけに終わっている感は否めないとは思います。繰り返しになりますが、農業者側と福祉側とがウィンウィンの関係を築いていくことができなければ、県が目指す行政の関与がなくとも、今申し上げたような自主契約を結んで農福連携が進展していくというような状況というのはやっぱり残念ながら生まれることはなかなか望めないのかなというふうに思うところであります。  最後になりましたが、こういう話があるのですよ。鳥取市気高町にある福祉事業所さくら工房というのがあるのですが、実は行政の関与なしに直接農事組合法人日光農産と関係を築いておられまして、瑞穂ショウガの農作業を受託しておられます。農業者としてもとても助かっておりますという話でありまして、これが先ほど申し上げたいわゆる双方の笑顔ということではないかなと思うのですが、私はこのような取り組みを一層ふやしていくためには、県としてもぜひ明確なビジョンを改めてしっかりと持っていただいて、何年か計画かでさまざまな取り組みを進めていくことが重要だと思います。  農福連携、全国に先駆けて我が鳥取県が始めた全国に誇れる取り組みであります。知事には、ぜひその先頭に立っていただきまして、鳥取モデルを確立していただきたい、そのように思います。最後に知事の意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎議員から今後の農福連携についての決意を問われました。  おっしゃったように、ショウガというのはいい素材でございまして、今ブームにもなってきております。ただ、鳥取県は実は江戸時代からショウガをつくっていたわけでありまして、瑞穂ショウガ、また日光ショウガというものをつくられていますが、気高地域、岩美でもございますけれども、いろいろと因幡を中心にショウガ生産が再度活性化しようとしてきています。ただ、なかなかやっぱり手間もかかりますし、大変なことも多うございます。それを気多の櫂さん、さくら工房のほうで手がけられまして、いい笑顔が生まれてきたというのは心強い限りであります。  さらに、このショウガにつきましては、すずかけさんがやはり作業に一部タッチをされたり、それからさくら工房さんもお菓子をつくっておられますが、ふれんずさんのほうではショウガ煎餅ですか、そういうスイーツをつくられたり、いろいろと派生商品も生まれてきています。農業者の方々も、そういうように障害者とのウィンウィンの関係づくりに熱心に協力していただいておりまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。鳥取県ならではの温かいきずなによる地域での障害者のなりわい、活力が生まれ始めたと思っておりまして、これを私たちは大切にしていきたいと思います。  実は鳥取県の農福連携、平成22年度から本格的に始めました。その後、全国的なメディアでも取り上げられたこともございまして、あるいは研究発表の場ですか、そうしたこともあって全国に今知られるようになってきています。実は農林水産省さんとか厚生労働省さんも視察に来られておられます。また各県も視察に来られていまして、例えば山形県議会もこの農福連携を見に来られました。副議長さんが感心をされたそうでございまして、こういう分野で障害者の所得増というのは可能であると、鳥取県のような取り組みが進めば障害者の生活も変わってくると、こういうようにコメントをされたと伺っております。現に視察に来られた県の中には、次々と鳥取県型農福連携を始めてきております。隣の島根県であるとか、あるいは長野県であるとか、来られた県はたびたび現場に通ってこられまして実情をいろいろと勉強してくださって、ありがたい話ですが鳥取県型というのをよその県で移植をして始めておられます。  そういう方々に共通するのは、鳥取県には鳥取県のモデルがあると。それは福祉の現場と農業の現場が出会っていると。これは行政の中で縦割りが先行しがちなのですけれども、鳥取県の場合は日本一小さな県だからできるような障害者施策があるだろうということでこういうことを始めたわけでありまして、いわばそういう現場同士がつながって、さらにそれが農業者だとか福祉作業所などにも伝わりまして、それがうまいぐあいに動き始めたということでありました。やれそうでなかなか難しいことだと視察に来られた方々はおっしゃっていまして、鳥取県のような仕組みというのを評価してくださっています。  我々としても、あいサポート事業もございますが、こういう農福連携のように鳥取県型の福祉の中には今成長し始めたものもあると思っております。自信を持って、これからそうした輪を広げてまいりたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)暫時休憩いたします。  午後の本会議は、0時45分より再開いたします。        午前11時40分休憩    ────────────────        午後0時45分再開 ◯副議長(稲田寿久君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  6番市谷知子議員 ◯6番(市谷知子君)(登壇、拍手)日本共産党の市谷知子です。  まず、三洋電機のリストラ問題です。前回質問後、深刻な事態が進んでいます。新会社設立の話が出ていますが、10月半ば、労働者にその新会社への転籍か県外への配転か希望退職かの選択肢が示されました。しかし、新会社の枠は430名の労働者の半分、約200名しかなく、応募者を審査して振り落とす仕組みでした。ところが、申込期限を過ぎたら受け付けないとしていたのに、期限後、役員が申し込ませた労働者が合格し、期限内に申し込んだ労働者が不合格、その中には妊婦もいます。合否基準は明らかにされず、不合格通知はどの労働者も一言一句同じ。理由を尋ねても、あなたはスキルがない、あなたは要らないと会社が決めたのですの一点張りで、労働契約法でいう合理的な基準が示されていません。不合格になった人は県外配転か希望退職しかありませんが、県外配転先が示されたのは、希望退職の申込期限残り4日となった日でした。突然1月から群馬の富士重工のラインに行くこと、行ったら帰れないと口頭説明のみ。妊婦や子育て中の人が行けるでしょうか。わずか4日間でそんな大事なことが決められるでしょうか。結局選択なんてできない、やめるしかない状況に労働者を追い込んでリストラしているのが実態です。労働者からは、有給もとらず、子供の参観日にも行かないで会社のために仕事をしてきたのに、本当に悔しい、こんなやり方をする会社、潰れてしまえばいいとさえ思うと怒りの声が広がっています。労働者を粗末にする企業に未来はありません。  また、鳥取県が40%出資する第三セクター、三洋電機の障害者の特例子会社、千代三洋では、11月15日に突然朝礼で30名の希望退職を募集すると告げられ、5日後の面談で渡されたのは退職金を書いた紙切れ1枚。退職日も再就職支援も今後のことは何も紙で渡されず、9日後の29日から、土日を除いてわずか4日間で申し込むようにとのことでした。  鳥取の三洋電機は46年前に誘致され、40億円の県補助金、三洋の工業用水利用も含んだ950億円の殿ダム、こうした県の支援によって3,000人の労働者、県内製造業出荷額の約2割を占めるまで成長しました。その結果、鳥取県の製造業に占める電機産業の割合は5割と全国1位。今回の三洋電機の消滅は、鳥取県の雇用と関連企業、県経済に甚大な影響を与えます。県民挙げて支援し、知事みずからが何度も足を運んで雇用維持を求め、昨年末のリストラのときにも、これ以上の雇用破壊はやめてほしいと要望してきた鳥取県としては、仕方がないでは済まされません。そして、こんなことを許していては県経済の回復はあり得ません。6割が県民消費で支えられている県経済回復には、県民の懐を暖める安定した雇用確保は絶対条件です。  三洋を吸収したパナソニックの内部留保は3兆円。鳥取の労働者の雇用維持はわずかその0.08%、パナのリストラ計画4万人の雇用維持はその6%でできます。リストラされようとしている労働者の声を直接聞くこと、そして31日に迫ったこの無法なリストラをやめるよう三洋・パナソニック、千代三洋に求めること、知事どうでしょうか。  次に、復興予算の流用問題です。  まんが博覧会PRキャラバン隊に復興予算が流用されました。キャラバン隊には全く被災者は含まれていません。被災からきょうでちょうど1年9カ月、被災地の復興のめどが立っていない中、被災地に全く関係ないことに使われたのは大問題です。東日本大震災の復興予算の鳥取県の利用は総額幾らか、また何に使われたのか、被災者向け緊急雇用では被災者何人の雇用につながったのか、お答えください。  次に、米軍機とオスプレイの訓練です。  鳥取県には米軍機の低空飛行訓練ルート、ブラウンルートが存在し、墜落事故を起こすオスプレイも飛ぶ可能性が指摘されています。全国知事会での平井知事提案による決議に続き、8月には中国知事会が低空飛行訓練の実態解明と説明、訓練の中止を求めています。しかし、11月2日の全国知事会では、改めて森本防衛大臣がオスプレイの訓練計画を説明、内容はどのようなもので、知事はどう感じ、どう対応したのか、お尋ねします。  最後にTPPです。日本共産党は、食と農業、日本の主権が奪われるTPP参加は断固反対です。しかし、民主党は守るべきものは守る、自民党は聖域なき関税撤廃を突破するとして聖域をつくって参加すると、民主も自民も参加に前向きです。  知事は、TPPに聖域があると考えるのか所見を求め、壇上での質問とします。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)市谷県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、三洋・パナソニック、千代三洋につきましてお尋ねがございました。これにつきましては詳細、商工労働部長からお答えを申し上げたいと思います。  今、雇用が大きく危機にさらされていることは、私どもとしても深刻に受けとめなければなりません。したがいまして、今労働界あるいは経済界、金融界、いろいろな方面に声をかけまして、そういう雇用対策を改めてねじを巻こうというふうに考えております。三洋・パナソニックグループには、これまでも重ねて雇用の維持や事業の発展に声を上げてまいりました。先方のほうのいろいろな御事情で、こういうふうに経過してきておりますけれども、私どもとしては、できればもう一度ここに雇用を戻すようなそういう努力をしてもらいたいと、そのことを申し上げているところであります。  近々この県議会で議決がなされると思いますが、経済雇用対策、今回も提案をさせていただいております。その結果も踏まえながら、県庁内のプロジェクトチームで経済雇用対策の議論をさせていただきたいと思いますし、それから経済界あるいは労働界あるいは国の労働局、そうしたところとテーブルを一つつくりまして、雇用対策の本部をこの三洋関係のことを中心として議論をさせていただきたいと思います。年末にも、そうした相談の窓口を緊急に設けることが必要だろうと私は今見ていまして、これも、我々としても準備を急いでいるところであります。  いずれにいたしましても、雇用の1万人創造など、我々としてできる限りのことをやって、若い人を中心として安心して働ける鳥取県を、環境づくりを目指してまいりたいと思います。  次に、まんが博のPRキャラバン隊について問題だというお話をされました。東日本大震災復興予算の状況等についてお尋ねがございました。これにつきましては、総務部長から詳細をお話し申し上げたいと思います。  今の議員のお話でちょっとひっかかるといいますか耳に残るのは、PRキャラバン隊が問題だというような表現をされるわけでありますが、私はこれは職業差別かなというようにすら思います。あの方々も職を失って大変な状況なわけであります。三洋問題を初めとしたさまざまな雇用の状況がある。そういう中で何とか過渡的でも雇用の受け皿をつくろうということでいろいろな事業が用意されているわけであります。議員はこのことだけをおっしゃいますけれども、実はこれは国の制度の問題でありまして、国会において決められた制度なわけです。東日本大震災の復興ということがテーマではありますけれども、それとあわせて日本経済全体が沈み込んでしまう、そのための雇用を、あるいは経済対策をしっかりやろうと、それで国全体でそういう制度がつくられました。それに基づいて、さまざまな事業がなされたうちのたった一つにすぎません。そのほかには、午前中も浜崎議員との議論がございましたが、農福連携のコーディネートをする人材、これも同じような予算から来ております。また、いろいろと職場をつくろうということで、重点分野の雇用を促進しようとしてインターン的に雇う、そういうような事業もそうでございます。あるいは若者サポートステーション、こうした事業もこういう震災絡みの予算、国の制度の中で我々として運用させていただいているわけであります。  私ども現場を預かるほうとしては、国の制度でこういうものができました、それが活用できるならぜひやってくれという話があって、私どもとしてそれを予算上活用させていただいているということでございます。根っこは国の制度の問題でございますので、国会の中の議論ではないかというふうに思います。  それが、このPRキャラバン隊だけおかしいとおっしゃる意味がよくわかりません。これは服装が悪いからなのでしょうか。あるいはダンスをするからいけないのでしょうか。そんなことはないと思うのです。本当に一生懸命に今を生きようとして頑張っている若者たちでございますので、ねぎらわれこそすれ、非難されることはないのではないかというふうに思います。  次に、オスプレイにつきましてお尋ねをいただきました。ブラウンルートの関係のお話がございまして、全国知事会での森本防衛大臣の計画説明等につきまして、どういう内容であったかなどのお尋ねでございます。これにつきましては詳細、企画部長からお答えを申し上げたいと思います。
     私ども全国知事会として、このオスプレイ問題については深刻に受けとめています。先ほどもお話がございましたが、夏の全国知事会以来声を上げてきておりまして、私ども中国地方もその影響は決して小さくないところだと考えておりまして、あえて声を上げているところでございます。全国知事会としては、ついせんだっても12月に入りまして会長メッセージを出しました。それから中国地方知事会も5県が集まりましてオスプレイ問題を話し合いまして、これについても国に対して要望をしようということになりました。その要望を受けて、私、中国地方知事会長という立場で11月26日に防衛省を訪ねまして、中国地方からの申し入れをさせていただいております。  そういうような経過でございますが、現場では国のほうから明快なオスプレイの安全性についての説明責任が果たされているとは余り受けとめられておりません。今後とも国に対してきちんとした要請活動をやっていこうと考えております。  次に、TPPについてお尋ねがございました。これにつきましては、聖域があるのかどうか所見を問うというお話でありました。聖域という話は、多分自民党さんの公約との関係でおっしゃっているのかもしれませんが、聖域という言葉遣いは自民党に聞いていただいたほうがありがたいなと思います。  TPPについての考え方を申し上げれば、本議会でも議決がなされましたが、これは慎重に検討されるべき課題だというふうに議会の議決同様に私も考えているところでございます。すなわち、このTPPの内容がよくわからない上に、農林水産業を初めとして大きな影響があるかもしれない、その辺の説明責任が果たされているとは言えない状況ではないだろうか。さらに言えば、全体として影響が大きいと言われている農林水産業関係への影響を緩和するような国の何らかの措置、政策を考えるのであれば、それもあわせて議論の場に供するべきでありますが、そこがいまだなされていないわけであります。したがいまして、この問題については慎重にこれから議論されるべき課題ではないかと考えております。 ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  岡村商工労働部長 ◯商工労働部長(岡村整諮君)それでは、三洋・パナソニック、千代三洋のリストラへの対応ということで補足の答弁をさせていただきます。  もともと三洋電機CEBUに関しましては、1月1日から三洋テクノソリューションズ鳥取という形でエネルギーデバイスの企業としてスタートを切られます。その過程でどういう選択をされたのか、どういう説明があったのかということに関しましては社内の情報でありますが、ただ1点、おっしゃられたように配置転換先を早期に示すべきだということに関しましては、私のほうからも11月末に三洋電機CEBUの社長並びに経営幹部の方にしっかり申し伝えております。  あわせまして千代三洋工業に関しましても、これは県も出資しております第三セクターの特例子会社、筆頭株主は三洋電機でありますけれども、以前LED事業が4億ぐらいの売り上げがありました。この事業がなくなるということで非常に経営が苦しくなったということで、障害者の雇用を守るということを前提としまして、もう一度同じように早期退職を募って、退職の優遇制度等もこの千代三洋さんにも適用させて再出発を図りたいというふうに伺いました。この点に関しましても、千代三洋工業に関しましては私も取締役でもございますので、再度従業員により丁寧な説明をするようにということと、これは11月の26、27ということで2日間にわたって千代三洋の社長にも申し入れしておりますし、30名という希望退職の数を明記して退職希望をとるのはおかしいということも申し添えました。ただ、この30名に関しましては、特例子会社の場合、障害者の雇用の1に対しまして健常者の方の数が1.5が大体標準モデルとなっておりまして、先ほど申し上げましたように、千代三洋工業はLEDの事業のときに健常者の方をたくさん採用されました。20人に対して80人ということで、そこでバランスが崩れてしまいまして、LEDの事業がなくなることによってこの体制が維持できないということがありましたので、この30人という数値目標は掲げずに離職者の希望をとることはやむなしということで伺いました。  そのような形で2社ともに私のほうからも要望を入れておりますし、労働者の方への相談につきましては、みなくる鳥取内に昨年三洋電機CEの離職者相談窓口を開設いたしました。昨年の10月から相談が48件ございまして、就職支援ですとかキャリア形成等についての相談を伺っているところであります。 ◯副議長(稲田寿久君)野川総務部長 ◯総務部長(野川聡君)復興予算の関係につきまして補足の答弁をいたします。  初めに、議員のほうから予算が流用されたということにつきましては、まず事実誤認でございます。また、被災地と全く関係ないことに使われたのは大問題という議員からのお話でありましたが、私どもは国の実施要領と厚生労働省の通知に基づいて適正に執行しておりますので、大問題ということに対しては大変心外であるとまず最初に申し上げたいと思います。  具体の話でございますけれども、震災復興予算につきましては、国の事業は2つございます。1つには橋梁の耐震整備、あるいは道路の落石防止、崩落防止などの緊急防災・減災事業、これを2カ年にかけて約25億円取り組んでまいっております。もう1つは基金事業と申しまして、緊急雇用創出事業でありますとか間伐や路網整備などで緑の産業再生プロジェクト事業というものに取り組んでおりまして、これも2カ年で約100億円ということでありまして、国の事業は総じて125億円程度取り組んでまいっております。  次に、単県事業でございますけれども、これも国と同じように緊急の防災・減災事業に取り組んでおりまして、本県の場合は主に県立学校の耐震整備を中心に使わせていただいておりまして、これが2カ年で約28億円取り組まさせていただいております。  最後に雇用の関係でございますけれども、24年度だけで申し上げましても、この緊急雇用創出の事業で実に1,282人の雇用が生まれております。被災者の雇用は何人かというお尋ねでありますけれども、こちらにつきましては、県と市町村合わせまして14名の雇用となっております。 ◯副議長(稲田寿久君)中山企画部長 ◯企画部長(中山孝一君)オスプレイの訓練計画の説明と対応につきまして補足の答弁をさせていただきます。  11月2日の全国知事会におきます森本防衛大臣からの訓練計画の説明でございますが、アメリカ側から訓練計画の説明を受けたとのことで、まず本土でオスプレイの訓練を行うこと、キャンプ富士や岩国飛行場を使用し低空飛行訓練、空中給油訓練などの各種訓練を行うこと、11月から本土の施設に飛んでいき、定期的に訓練を行うこと、また沖縄に基地が集中し負担を一点に負っていることから本土でも負担していただきたく、具体的な内容が決まれば関係する都道府県に説明したいというものでございました。  この説明では、いわゆる中国地方にあると言われておりますブラウンルートの存在を含め詳細な説明はなく、またオスプレイの安全性につきましても納得できる内容ではなかったことから、11月6日、先ほど答弁されましたが森本防衛大臣に対し、文書によりまして、アメリカから提供されたオスプレイの訓練計画と中国山地における飛行訓練を含め、計画されている飛行訓練のルートにつきまして回答、情報提供を要請したところでございます。 ◯副議長(稲田寿久君)6番市谷議員 ◯6番(市谷知子君)三洋問題ですけれども、ぜひ労働者の声を直接聞いていただきたいです。相談窓口も用意していただいているということですので、そこに労働者の皆さんにもぜひ行っていただくように私のほうからも言いますし、周知もしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。  今回のリストラ問題の対応なのですけれども、失われた雇用を復活させるということで補正予算も組まれておりますけれども、それでいいのかと。一度失われたものを取り戻すというのは本当に大変です。私は、これはやっぱりそういう対応ではなくて、失わないようにさせると、そのことが大事だというふうに思います。こういうふうに雇用を守るということは、私は企業にとっても非常に大事なことだというふうに思っています。  ちょっと紹介させていただきます。  例えば今、日本の液晶テレビですけれども、これは日本で開発されましたが、コストカットで労働者がどんどんリストラされて、技術者も流出して、この液晶テレビは日本ではほとんどつくれません。企業も競争に勝つどころか物も売れず、結局経営悪化の悪循環になっています。そうかと思えば、一方で、実はダンボールの国内最大手のレンゴーという企業がありますけれども、この会社はリーマンショックのときに1,000人の派遣社員を正社員にして、年間5億円かかったのだけれども、社員のやる気が高まって業績が上がっている、こういう実績もあります。やはり労働者を大切にしてこそ企業の競争力も維持できるというふうに思います。そして何よりも国内の雇用維持というのは、経済の6割を支える国民の消費を支えて日本経済と企業の安定的な成長に道を開くというふうに思います。ですから、やはり私は失わせないということのためにどれだけ努力をするかというのが、今政治の責任として問われているというふうに思います。そして労働者を守ってこそ企業の成長になる。私はこの立場から、諦めてはいけないというふうに思うのです。  先ほど手続については若干ただしていただいたということがありましたが、労働者は納得していません。今回の不公正な採用のあり方、これをぜひ正すように三洋に求めていただきたいし、労働局にも調査指導を求めることについて知事どうでしょうか。  さらに千代三洋なのですけれども、先ほどこれも手だてをとられた話がありましたが、これは私のほうから申し入れをさせていただいて、その後手だてがとられたというような経過です。県は先ほど障害者雇用を前提に今回の希望退職にも合意してきたと言われますけれども、結局障害者の方も今回の手続の中でやめるという申し込みをされている方もあります。しかしその一方で、部長にも聞きましたけれども、千代三洋は経営方針が決まるのはこれからだというふうに聞いています。先ほどお話にもありました岡村部長は千代三洋の取締役の一人です。責任があるというふうに思います。今回の唐突な希望退職は一旦白紙に戻すこと、その上で、言われたように今後、経営方針が出てから、仮に希望退職を募る場合があれば退職加算金をつけたり、または再就職支援に県が全力を挙げる、このことはどうでしょうか。  復興予算についてですけれども、国の方針として、ほかのものにも使えるようになっていたからと言われますけれども、職業の差別だということも知事はおっしゃいました。しかし、このPRキャラバン隊が被災地や被災者に何の関係があるのでしょうか。そういうものに使ったということをおかしいと思わないこと自体が私は異常だというふうに思います。先ほど復興予算の使い道、25億とか100億とか28億とかありました。学校の耐震化とか県内の橋、見ましたら西部総合の福祉保健局の耐震化とか、これらは確かに必要な事業ですけれども、肝心の被災地で復興がなし遂げられていない、被災地の自治体庁舎の改修もできていないのに私は鳥取県が使っていいのだろうかというふうに思うのです。先ほど1,000人の雇用という話がありましたが、14人ということで、本当に被災者の方の雇用が少ない結果になっています。この復興予算というのは被災地のためのものです。やはりそれ以外には私は使うべきではなかったというふうに思います。  さらにお尋ねしましたけれども、今回の復興予算の財源がどのように賄われているのか、お答えください。  次に、オスプレイの訓練の防衛大臣の説明ですが、先ほど御答弁があったように、知事は納得できないということでさらに要望書を出されたとのことですけれども、国の返事がどうであったのか、その結果についてお答えください。  またTPPの聖域については自民党に聞いていただきたいということでしたが、私も本当に聞きたいというふうに思うのです。本当に例外や聖域がつくれるのかと。もともとTPPというのは例外なしが大前提です。参加9カ国の中間まとめでも例外は認められていません。日本政府自身が発表した事前協議の結果報告でも例外なし、全品目の関税撤廃が原則、90から95%を即時関税撤廃し、残る関税についても7年以内に撤廃するというふうになっていると政府が言っているのです。実際に最近参加したカナダやメキシコも例外なしという条件をのまされています。交渉に参加して例外を認めさせることはあり得ない。無責任な話です。私は、この話には乗せられてはいけないというふうに思います。  そして、TPPの恐ろしさですけれども、アメリカの要求を丸のみさせられて食も農業も日本のルールもアメリカ流に変えられて、日本がずたずたに壊されるということです。日本がTPPに参加すれば、貿易額は日米で90%です。TPPに参加するにはアメリカを含む全ての参加国の合意、特にアメリカの場合はアメリカ議会の承認が必要です。資料3を見てください。こういう手続で議会の承認が必要です。つまりアメリカの要求を丸のみする、これがTPP参加の前提になってくるわけです。  そこでお尋ねしますけれども、4月24日、民主党の調査団の報告で明らかになった日本のTPP参加に当たってアメリカが日本に要求している保険、自動車、牛肉の規制緩和について、またアメリカ通商代表部が日本に求めている貿易障壁報告書についてどう思うかお答えください。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)市谷議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  まず、三洋等の雇用関係につきましてお尋ねがございました。これにつきましては、岡村商工労働部長のほうから重ねて御答弁を申し上げたいと思います。  議員がおっしゃるように、失われない雇用をつくるほうがずっといいと。つまり雇用を守るということであります。当然そういうふうに県も今回三洋の問題では一貫して動いてきました。この辺の経過は議員もよく御承知だと思います。  最近、我々が恐れていたのはシャープでありました。シャープについても大リストラを全国でやるわけです。今まで実はシャープというのはリストラをやったことのない企業でありました。初めて大規模に展開をするということになり、我々も心配をしたわけでございます。それでいろいろな形で折衝のパイプを持ってまいりました。我々のところはシャープ米子という工場がございまして、こちらの雇用を富士通から引き継いだわけでありますが、これが失われるのではないかということで働きかけをしてまいりました。その結果として、このようにシャープ全体が厳しい中ではありますけれども、外国の企業とタイアップをして、あそこでIGZOといわれる新しい液晶技術を活用していく調査研究開発、それから試作等のラインにするということが先般報道されるようになってきました。早速シャープ側に確認をしましたけれども、私も方志さんというあちらの重役さんと先週ですか、電話で話をしましたが事実であると、間違いないと。そういうことで、近々そうした方向性が出てくると思います。ただ、それは雇用が極端にふえるとかいうことではなくて、現在の雇用を守る、そのベースのお話でありまして、若干雇用増はあるぐらいだろうかと思いますが、我々はそれでいいと思っているのです。  このように海外へ技術移転だけでなくて労働まで流出してしまう、雇用の場まで流出してしまう、そんな状況を何とか鳥取県で小回りを生かして、中で研究開発の拠点にするとか、あるいは業態転換をして別の産業に挑戦してもらうとか、いろいろなことを我々は応援をして、何とか雇用をつくっていきたいと思います。そんな意味で、労働移動を起こす助成金も全国には例がございませんが、本議会にもあえて提案をさせていただいているわけです。  そういうようなことで、我々としても最大限の努力をやっていきたいというふうに考えておりますし、個々の問題、三洋側には実は先月も何回か会社の当局のほうに我々も申し入れをしております。そういうことで今後とも適正な雇用に努めるように求めてまいる所存でございます。  次に、復興予算の点につきましてお尋ねをいただきました。被災地のために使われていないお金は鳥取県は使うべきではなかったと、それから財源についてはどういう状況かというお話でございました。  先ほど申しましたように、これは国会で決まった法律に基づいてつくられた制度でありまして、復興という国家の難局に当たって国全体の経済が沈んでしまう、それで雇用も含めて考えれば被災地以外でもそういう雇用対策事業等をやってしかるべきだと、こういう国会の判断があったわけです。それに基づいて制度がつくられ、我々が執行しているわけであります。議員は、それを使うべきではなかったとおっしゃるのであれば、1,000人ほどを今までこれで雇いましたが、その人たちに人件費を返してくれと、給料をもう一度戻してくれと申し入れろという御趣旨なのでしょうか。多分そういうことでもないのだと思うのです。もし議論の矛先を向けるのであれば、これは結局国の意思決定のほうにされるべき問題であって、その制度を運用している現場の我々のほうでいかんともしがたい課題であろうかというふうに思います。もちろん、我々は被災地のための事業展開を全国に先駆けてやっているわけでございまして、だからこそ鳥取県、人口規模は小さいですけれども、200名の被災者がいまだここで生活をされておられます。そういうことの裏には、鳥取県のほうで市町村と一緒になってやっているさまざまな支援策を評価していただいているからであります。もちろん雇用の受け皿づくりもそのうちの一環でございます。  ただ、どういう制度づくりがいいのか、これは国において十分議論されてしかるべきだと思いますし、復興予算の使い方、それはすぐれて国家的課題、国会で議論すべき課題ではないかと思います。  その財源等、詳細は総務部長からお答えを申し上げます。  次に、森本防衛大臣の返事はどうだったのかということでございます。  詳細、企画部長からお答えを申し上げたいと思いますが、納得いくような説明がいまだ回答として返ってきたわけではありません。先ほど申しましたが、11月21日に中国地方知事会をやりまして、新メンバーもいた中で早速にこの問題を話し合いました。岩国基地の地元である山口県も含めて、みんなが了解した要望書をつくりまして国のほうへ持っていったわけであります。防衛省側はそのとき、重く受けとめると。もちろん岩国基地もあり、そういう中国地方の問題もあるので重く受けとめるという話でありましたが、事実関係の詳細については明らかな話はなかったです。例えば、私はブラウンルートということが世上報道されているけれども、それはどうなのだということを申し上げても、防衛省側は、そういうことについては我々は承知していないという話しか返ってこないわけであります。説明責任を果たすべきではないかと私たちは申し上げているわけでありますが、いまだちょっとすっきりした状態ではないというのが現状かと思います。  次に、TPPについてお話がございました。例外なき関税障壁の撤廃ということではないかということ、それから各種の明らかになった報告書等のお話がございました。  詳細につきましては未来づくり推進局長からお答えを申し上げたいと思いますが、例外なき関税撤廃にするかどうかで実はTPPの参加国が今もめています。今月に入りまして話し合いも持たれていますが、いまだ交渉がまとまらない最大の原因は農業関係の産品の輸入関税、こういう問題等のことでございまして、議員は例外なき関税撤廃でまとまったという話を強調されますけれども、現実はまだ国際的な交渉事として、そこが原因で暗礁に乗り上げているという部分があるようでございます。  ただ、いずれにしても我々には十分な情報が開示をされていません。その交渉の中身も含めて、国のほうで説明責任を果たしながら慎重な検討がなされるべき事柄だと考えております。 ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  岡村商工労働部長 ◯商工労働部長(岡村整諮君)それでは、補足の答弁をさせていただきます。  労働局に個別調査も申し入れるべきという話もございましたけれども、実はこの離職者を募られるときに、当然労働局も調査権を持っておられますので、どういう状態なのかということで労働契約法に照らしてそういうことを判断をされた上での報告になっておりますので、我々も労働局の報告を受けた後、つぶさに情報を共有するという形で連携をとっております。  千代三洋の件に関しまして、申し入れがあったから伝えたのではないかというお話だったのですけれども、私は6月に株主総会において取締役に選任されました。その際に、やはり厳しい状況があるということは取締役会の中でも報告がありました。特にこのLED事業の年内停止といいますか、売り上げが立たなくなると。それに対して実は千代三洋工業は、鳥取三洋電機の特例子会社でありました。今、三洋電機でありますけれども、当時、三洋電機はパナソニックの了解がないと新しい事業に手を出してはいけないということになっていまして、三洋電機の一存では、場合によっては事業所閉鎖もあり得るのではないかというような状況だったことを認識しております。その時点で私が取締役に就任した際の1回目の取締役会で、まずパナソニックに対してその辺、例えばこれを維持していくということに対して、三洋電機の特例子会社として維持していくことについて了解をとってほしいということを申し入れましたし、それから当然売り上げが減っていきますので資金繰りが厳しくなります。その資金繰りに対しましても支援していただきたい。当然、県としても新しい事業の開拓に向けて努力するということで、当時は新しい事業を開拓することもやはりパナソニックの了解がないとできないということも言われていましたので、その取締役会でぜひそこは了解をとってほしいということで申し入れしました。その結果として、11月の取締役会でパナソニック側にも了解をとったと、それで資金繰りも面倒見ると、なおかつ新しい特例子会社として維持、存続していくということで、我々県としても新しい事業についても提案していくというようなことも申し入れをしまして今日に至っております。  この前、市谷議員から御指摘をいただいて要請をしたというのではなくて、6月の時点からそういう流れをつくってきているというところであります。 ◯副議長(稲田寿久君)野川総務部長 ◯総務部長(野川聡君)復興予算の財源につきまして補足の答弁をさせていただきます。  東日本大震災を受けまして臨時的に増税措置が講じられることになりました。地方税の関係でいいますと個人住民税の関係でありますけれども、1つには均等割が1,000円上乗せになっております。26年の6月から10年間1,000円上乗せということになっておりまして、先ほど来申し上げておりますように緊急防災・減災事業に充当することになっています。もう1つにつきましては、退職所得10%の税額控除、これはかなり歴史が古うございまして、40年当初から導入されておりましたが、このたび廃止になりまして、同じく25年、来月の1月からこれも10年間、その廃止した分をこの増税に充てる、減災事業に充てるということになってございます。  それぞれの額、県税について申し上げますと、均等割につきましては1,000円のうち県分が500円でございますので10年間で約13億5,000万円、退職所得のほうは10%、うち県分が4%でありますので10年間で約2,200万円の試算としております。国税につきましては、簡単に申し上げますと、このたび復興特別税2つが創設をされておりまして、法人税と所得税の関係で創設をされております。いずれも3年間、25年間という長いスパンでありますけれども、合わせてそれぞれの年限含めまして、国のほうでは約10兆円の財源を確保する、そのようにお聞きをしております。 ◯副議長(稲田寿久君)中山企画部長 ◯企画部長(中山孝一君)防衛省からの回答について補足の答弁をさせていただきます。  この依頼文書発送にあわせまして防衛省のほうに電話で確認いたしました。これまでと同趣旨の、同じような回答でございまして、訓練計画は米軍の運用に関するものなのでお答えはできない。あるいはブラウンルートについては、米軍からの情報が得られたら積極的に情報提供するとの説明がございましたが、きょう現在、当方には回答がまだ届いていないという状況でございます。 ◯副議長(稲田寿久君)田中未来づくり推進局長 ◯未来づくり推進局長(田中規靖君)それでは、TPPに関しまして米国の情報要求の補足の答弁を申し上げます。  この報告書等を通して、4月に米国側がこれまでに示した関心事項としては、当時のUSTRのカーク通商代表より、自動車分野、牛肉、保険といった分野について高い関心を示されたということでございます。  現在のこの関係の交渉の状況ということでございますけれども、先ほど知事が答弁いたしましたとおりで、現在交渉参加国、これは今回よりメキシコとカナダが新たに加わりまして11カ国で交渉を進めておりますけれども、例外なき関税撤廃という大きな目的はあるにしても、例外品目が認められる余地について、参加国の中でもまだなかなか議論があるようでございます。ちょうど12日までオーストラリア、ニュージーランドのほうで交渉が行われておりますけれども、例えば米国は乳製品や砂糖の関税を残したいといったような意向、それから新たに参加しましたカナダにつきましても、乳製品や鳥肉を関税撤廃等の例外とするようにといったような主張をしているように、例外なき関税撤廃ということについては、まだまだ交渉参加国の中でも高いハードルがあるようでございます。  なお、TPP協定の交渉を含め、国益を左右する重大な判断を伴う場合、政府におかれましては国民への十分な情報開示や悪影響を克服する具体的な国内対策の提案を誠実に行い、説明責任を果たした施策を進めていただくようにお願いをしたいというふうに、今後も県としても引き続き政府に訴えてまいる所存でございます。(市谷知子君「答弁漏れです。雇用の相談窓口」と呼ぶ) ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  岡村商工労働部長 ◯商工労働部長(岡村整諮君)失礼いたしました。雇用の窓口でありますけれども、これは、みなくるのほうに、先ほど知事も最初に答弁ございましたが、年末に向けて新しい対策もとるべきだということで今準備を進めております。今、窓口を設置しておりますけれども、それに加えた新たな対策もぜひ検討していきたいと思います。  それともう1点は……(市谷知子君「千代三洋の」と呼ぶ)千代三洋につきましては、先ほども申し上げましたけれども今後年内にもう一度取締役会を開催する予定になっております。その場で今後の経営方針等につきましても議論があります。そこで議論を固めた上で、当然従業員の方に対してもその方針を説明していくことになると思います。 ◯副議長(稲田寿久君)6番市谷知子議員 ◯6番(市谷知子君)三洋問題ですけれども、相談窓口など、きちんと労働者のほうには周知をしていただきたいということです。  同時に、先ほど三洋に対して今回のいろいろな手続については言ってきたし、労働局にも言ってきたということなのですけれども、いまだに労働者のほうには今回の新会社への採用のことについては納得できる説明がされていないのです。妊婦も不合格になっているけれども、なぜそうなのかということも説明がないのです。求めてもないのです。私はそのことについて、きちんとただしていただきたいと思いますけれども、県と労働局できちんと会社を指導していただくこと、再度どうでしょうか。  千代三洋のことですけれども、結局今の御答弁では、希望退職のことについてはやり直しをされないという話かなと思いましたが、今聞きましたように、これからなのですよ、会社のあり方については、県も努力をして。私はやっぱりもう一度やり直しをしていただきたいと思いますけれども、もう一度答弁をお願いいたします。  もう一つ皆さんに訴えたいのですけれども、今回こうした雇用破壊がはっきり言って平然と行われている。こういう背景には、今の日本の労働法制の貧しさがあるというふうに私は思います。日本では整理解雇4要件、これを満たさないと本来であればリストラは無効なのですけれども、これはあくまで裁判判例であって、法律ではありません。ヨーロッパでは解雇規制法があります。日本でも解雇規制法の制定を求める、また労働者の合意や自治体への届け出を義務づけるリストラアセスメント法をつくることなど国に求めていただきたいですが、どうでしょうか。  復興予算についてですけれども、先ほど国がいろいろ使えるようにしているのだからと言われましたけれども、知事はそう言っていろいろ逃げられるわけですけれども、復興以外に使っているという事実は消しようがありません。私は改めていただく必要があると思っています。  同時に、先ほどこの復興予算の財源のお話がありました。所得税は全国で7兆円の増税です。県民税、年間1,000円アップして10年間で13億4,900万円、全国でも6,000億円の増税、それから個人住民税についても増税という話がありました。これは被災者も同じように増税になっています。県民もですけれども、被災者もです。ところが一方、先ほど大企業も増税という話がありましたが、大企業については減税をして、その分を下回らないだけの増税分で、結局減税になっているのです。私、本当に腹が立つのですけれども、被災地も含めた住民には増税、大企業には減税、その上、先ほどから言いわけとして使われていますけれども、国会で決められた復興基本法をねじ曲げて被災地以外にもお金を使えるようにした民主、自民、公明3党の責任は重大だと言わざるを得ないというふうに思っています。被災地以外の流用をストップさせること、それから先ほど知事も言われました復興基本法、被災地だけに使えるように国に改正を求めていただきたいと思いますが、どうでしょう。そして、真剣に被災者支援に取り組んでいただきたいというふうに思っています。  福島から親子で鳥取に避難してきている方が、生活の見通しが立たない、子供への放射能被害を考えると帰りたくないけれども、親族がいる福島に帰ろうかと悩んでいる、こういう話を聞きました。避難者の生活支援金の再交付と継続、住宅支援の延長、被災地との往復交通費の支援をすること、知事どうでしょうか。  オスプレイについてですけれども、先ほど来答弁ありますように、県民の安全を求めて知事が何度も何度も説明を求めて要望しても、国が納得できる回答をしない。私は、本当に国の対応はひどいというふうに思います。そして米軍機は怖いです。  高知県の本山町では、昨年11月に防災ヘリの訓練直後に米軍機が飛んできました。私、鳥取県は大丈夫だろうかと米軍機のルートと県防災ヘリ、関西広域連合のドクターヘリの飛行ルートを地図に落としてみました。皆さん、資料1と2を見てください。特に2を見てください。鳥取県内では若桜、佐治、智頭、日南、三朝が防災ヘリ、ドクターヘリも米軍機の飛行区域と重なっているのです。これは今まで飛んだ実績なのですけれども、まさに重なっているわけです。何かあってからでは遅いです。改めて県及び関西広域連合で国に米軍機飛行の調査と中止要望を出すこと。それから県は今目撃情報の収集をしていますけれども、この米軍機について常時監視をすること、また関西広域連合で共同の調査をすること、知事どうでしょうか。  次にTPPについてですが、例外をつくるように今いろいろ議論がされているということですけれども、結局例外なしが前提になっているから今ごたごたにもめているということのあかしではないでしょうか。  先ほど御答弁あったように、今アメリカが日本に保険、牛肉、自動車の規制緩和を求めていますが、報道によりますと、こういうことだそうです。郵政事業のかんぽ生命は日本政府による特権があるので公平な競争ができない、この保険問題に対処しない限り日本のTPP参加は絶対に認めないとアメリカが言っている。また自動車。日本の安全基準は閉鎖的だ、安全基準を緩和せよ。軽自動車の税金の優遇廃止。軽自動車の税金が安過ぎるから廃止しなさい、こう言っているのです。牛肉は、BSE発生で設けた輸入制限を20カ月以下から30カ月以下に緩めること。そしてまた資料4を見てください。アメリカの対日要求、これは先ほど述べたもの以外にも本当にたくさんあります。その資料は抜粋ですが、米の輸入制限の緩和、木材製品の関税撤廃、大型公共事業はアメリカの建設企業が参入できるよう規制緩和をと、アメリカ企業が参入できるよう日本国民の暮らしや安全を守る基準を緩和せよと強力に迫っているわけです。そして、既にTPP参加に向けて、日本の食品安全委員会は米国産牛肉の輸入を20カ月以下から30カ月以下に緩和することを決めました。また、かんぽ生命は新たながん保険の発売中止を表明をしています。このように、TPP参加はアメリカの言いなりになって国民の暮らし、安全を脅かすアメリカの要求を丸のみをするということが前提ではありませんか。  先ほど来知事は慎重に対応をと言っておられますけれども、これだけ日本がアメリカから道理のない要求を突きつけられていて、慎重にどころでは済まないです。やはり断固反対をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)三洋問題につきまして重ねてお尋ねがございました。あわせて解雇規制法というか法制度の点についても御指摘がございました。重ねて商工労働部長からお話を申し上げたいと思います。  三洋につきましてはこういうこともございますし、さらに日立金属の課題もございますし、そのほかの職を失った方々、特に連鎖的になかなか注文が入らないということで厳しい状況に置かれている企業さんも潜在的にございます。その辺を前の代表質問のときだったか、ローラー作戦で今当たっているという話をいたしましたけれども、相当に厳しい状況も足元にございます。ですから、そういう現下の経済状況を考えて相談窓口をきちんとこの年末にこしらえていきたいと思います。みなくるのこともそうでありますし、年末の休暇中のときも相談窓口を設置をするとか、それからその際の国、地方関係の連係プレー等もしっかりとやっていきたいと思います。  議員が重ねて御指摘ございましたけれども、働いている皆様への周知も十分に図ってまいりたいと思います。丁寧に今の厳しい時局を乗り切るような施策を徹底してやってまいりたいと考えております。  解雇法制につきましては詳細、商工労働部長からお話し申し上げますけれども、これについては、例えば昭和50年の日本食塩製造事件最高裁判決など解雇法制についての判例の蓄積がございます。その中で解雇権の乱用と言われることになるようなカテゴリーを判例上あぶり出して確立されています。これが現在は労働契約法として承継をされて、法律上実定法の世界に入っています。ですから一応の手だてはできているのではないかと思いますが、法律の設定のことでございますので、これから選挙後、新しい国会議員の皆様も登場しますから、また議論をしていただければよろしいのではないかと思います。  次に、復興予算につきまして重ねてお尋ねがございました。これについて、鳥取県は改める必要があるのではないかと再度お話がございましたが、その意味が先ほど来ちょっとよくわからないと申し上げているわけです。改めるというのは、今既に国の制度に従って執行してきているわけでありますから、その働いた方々に給料を返せということを言えという趣旨なのか。本当によくわからないなと思います。  これは、議員もおっしゃるように国で決めた制度の問題でございますので、国のほうの議論をやり直してもらわないとリセットがきかないわけでございます。私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、今の厳しい経済情勢の中で、雇用対策にこういうお金を使えと国から出てきたものでありますから、むしろその趣旨に沿って執行する立場であるということを申し上げたいと思います。  また、復興基本法の改正を求めるといった趣旨のこともございましたが、この点は総務部長のほうからお話を申し上げたいと思います。  次に、本県への避難者の関係につきましてお尋ねがございました。生活支援金であるとか住宅支援であるとか、そうした要望に応えていくべきではないかということでございます。  私自身、被災者の方ともお会いして御要望を伺ってまいりました。そういう中で出てきた御要望に沿って、例えば広島のほうに行って被曝の有無を診断できるような手だてを組んだり、大分きめ細かくやってきているつもりです。近々クリスマス時期に被災者の方と親しく意見交換をさせていただこうと考えて計画しているところでございまして、そういうところで出てきた御意見などを総合して、今新しい事業年度の予算を組むときでありますが、私としては新年度以降柔軟に対処していきたいと思います。やはり国難のときでありますので、きずなを結び合って大切にお互いを考え、そして支え合うべき時期ではないかと思います。幸い本県は独自に基金造成もこの点でやってきておりますので、そうした基金の活用等も含めて柔軟に対処してまいりたいと思います。  次に、オスプレイにつきまして重ねてのお尋ねがございました。詳細、企画部長のほうからお話を申し上げたいと思います。  先般、11月の20何日かの毎日新聞の全国調査の中に出ていましたけれども、実は鳥取県は全国でも数少ないほうではありますが、10何県のうちの一県でございまして、飛行状況について調査をすることにしている県であります。現実にももうシステムも確立してきておりまして、常時市町村と連絡をとり合って、その状況について直ちに我々として把握しようということにいたしております。それに基づいて、これまでも低空飛行訓練などは抗議活動をやってまいりました。今後もこのオスプレイについても厳正にそうしたシステムで対処してまいりたいと思います。  次に、TPPについて重ねてお尋ねがございました。牛肉とかを初めとしたさまざまな対日要求がアメリカから出ている、いかがかと。TPPには断固反対すべきではないかということでございます。  このTPPも今国会議員の選挙の最大の争点の一つになっています。今、国民の皆様も各党の主張を聞きながら厳正な審判を下されようとしてるわけであります。当然ながら、そういうイシューでございますので、選挙の結果というものに基づいて国会で改めて議論が行われるというふうに思います。
     私としても、そうした動きを注視してまいりたいと思いますが、基本的スタンスとしては、先ほど申しましたようにこのTPPについてはやはり今でも情報が十分でない。その辺は政府は開示しながら国民と広い議論をすべきである。さらに、非常に影響の大きな分野につきまして、まだ政府の対策等が一切示されていない。まだ議論できる環境が整っていないというふうに思います。その辺のことをしっかりとやっていただきながら、国会での大きな今後の争点になると思いますので、注目してまいりたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  岡村商工労働部長 ◯商工労働部長(岡村整諮君)それでは、補足の答弁をさせていただきます。  まず最初に、労働局と県とで一緒になって個別の問題等についてももっとしっかり聞くべきではないかということだと思うのですけれども、県としましては、やはり労働局とも情報は共有いたしますけれども、我々として再就職支援とか雇用を確保して、そこに就職、労働移動していただくというようなところではしっかり労働局とも情報を共有しながら、産業雇用安定センターとも共有しながら、できるだけ早く離職された方がスムーズに労働移動できるように、そういう仕組みをつくりたいと思います。  これは、今誘致案件の企業も東部に出てきておりますので、そういうところに移っていただくこともありますし、我々が持っている情報を全て出しまして、できるだけ年内にも産業雇用安定センター、労働局、鳥取県と3者で情報を共有しながら再就職支援に全力を尽くしたいと思います。  千代三洋の希望退職云々につきましては、これはやっぱり役員会議で決めなければいけない話ですので、ここで私が発言する問題ではないと思っております。  解雇規制法の関係ですが、実は知事の答弁にもございましたように、我が国では労働契約法の中に規制がございます。それと個別法として男女雇用機会均等法や育児・介護休業法において解雇の規制をしております。そのようなものを含めて、解雇につきましては個別法において制限を規定して運用をされているというふうに認識しております。  ドイツのほうでは雇用規制の例ということで、例えば労働者が21名から59名の事業所で6人以上の解雇を行う場合には職業安定所に届け出しなければならないというような規定があるようです。実は、日本でも30人以上の離職者を出す場合は労働局に届け出るということになっておりまして、今回もそのような形で我々は情報を共有しながら、離職した方々の再就職支援に尽力するということにいたしておりますので、今国のほうでどうこうということにはならないというふうに認識しております。 ◯副議長(稲田寿久君)野川総務部長 ◯総務部長(野川聡君)復興基本法の改正要望についてでありますけれども、この基本法の2条に基本理念がうたわれておりまして、震災以降については、それらの教訓を踏まえて被災地だけではなくて日本全国が、国民一人一人が連帯をして再生に向けて頑張っていこうと、そういうような趣旨が述べられております。先ほど来重々お話ししておりますけれども、事業を適正に執行してまいっております。本県も雇用あるいは防災・減災、さまざまな事業にこの予算を使わせていただいておりますので、大変効果がある有効なものだと承知をいたしております。  議員が流用とおっしゃったのは、巷間言われている国のほうの事業ではないかと思いますけれども、復興推進会議でありますとか仕分けのほうでも一定の見直しがされておりますので、本県は現在のところ、改正については要望する考えはございません。 ◯副議長(稲田寿久君)中山企画部長 ◯企画部長(中山孝一君)ドクターヘリと飛行訓練ルートにつきまして幾つか質問がありましたので、補足の答弁をさせていただきます。  まず、関西広域連合での米軍機の低空飛行の中止要望でございますが、これにつきましては、関西広域連合の中で徳島県が医療局担当県でございますので、そちらのほうがどのように考えるか、まず意見を聞いてみたいと思います。その上で必要があれば、関西広域連合での要望について相談していくこととなろうかと思っております。  次に、監視体制でございますが、監視体制につきましては、かねてより市町村から米軍機の目撃情報について通報していただくことになっておりまして、オスプレイの本格運用を踏まえまして先日、12月4日でございますが、再度全市町村に情報提供の文書を出させていただいたところでございます。また、ドクターヘリの共同運航を行っている自治体での共同調査ということでございますが、これにつきましては兵庫県が関係自治体となりますが、鳥取県と同様の情報収集を行っておられますので、現在の調査で対応が可能なのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、オフプレイを含め、米軍機の低空飛行による騒音や不安など県民生活に支障が生じないよう、引き続き情報収集を行っていくということにしております。 ◯副議長(稲田寿久君)6番市谷議員 ◯6番(市谷知子君)雇用問題ですけれども、今の御答弁を聞いていまして、結局再就職支援には県は力は尽くすけれども今本当に納得できずに職をなくそうとしている労働者に対して、その思いに沿った対応はしていただかないということだというふうに思いました。本当にこういう県の対応についても怒りの声が労働者からも今出ています。県は何もしてくれないのかと。再就職支援もいいけれども、やめずに済むようにしてもらいたいというのが今の労働者の声です。労働局にこの不公正な採用問題、もう一度言っていただきたいと思いますけれども、再度どうでしょうか。  千代三洋の問題もそうですけれども、今県が役員をしているこの千代三洋で目の前で労働者がやめさせられていく、このことをとめるように役員会で話をしていただきたいと思いますけれども、もう一度どうでしょうか。  解雇規制法などのルールづくり、これから議論されるだろうという話もありました。同時に30人以上離職する場合は届け出という話がありましたけれども、これはやめるという結果が出てから初めて届け出がされるのです。今回みたいに三洋でも100人以上もやめるのですけれども、いまだに届け出はないのです。やめるという段になって初めてなのです。こういう手続の段階から、こういうことをして離職する可能性があるということも含めて、きちんと届け出させる、そういう解雇規制法をつくるべきではないでしょうか。もう一度国に法づくりを求めること、どうでしょうか。  そして今後の県内の対応についてです。今回の補正予算で製造業再生支援事業、予算計上されつつありますが、50人以下の企業、小さい企業、千代三洋、グローバルな事業展開でない場合も対象にすべきと思いますが、どうでしょう。それから、同じく補正予算の今お話ありました離職者を受け入れる企業に100万円を支給する制度ですが、労働者や企業への周知はどうされるのか。受け入れ企業が31業種に限定されていますが、拡大するということ、また既に離職している方も対象にするということ、それらの徹底についてどうされるのかお答えください。  復興予算の問題ですけれども、先ほど言いましたけれども、県民も増税になっている、被災者も増税になっている、それは被災地のためだということで増税になっているのに、それが被災地のためではないところに使われている。私は、このことについて胸が痛まないのかなというふうに今答弁を聞いていて思いました。今でも被災地は復興していません。私は被災地のためにこれは充てるべきだと、そういう立場にやはり県には立っていただきたいという意味で質問をしております。そして、復興基本法の改正について今議論がされているというお話でしたけれども、本当に胸が痛むのであれば、積極的に被災地だけに使うようにと法改正を求めていただきたいというふうに思いますが、もう一度どうでしょうか。  オスプレイについてですけれども、関西広域連合での対応、今後ぜひお願いしたいと思います。  こんなに米軍機が自由勝手に飛ぶことを許している大もとには、日米安保条約があります。前回の議会で知事は、日米安保もあり方を考えないといけないとおっしゃっていました。そこで、この日米安保条約の廃棄規定がどうなっているのかお尋ねします。  TPPですけれども、情報を得ながら慎重にと言われますが、このTPPというのは内容は4年間は秘密にする、こういうことで合意されているのです。これでは慎重に対応したくてもできません。それから資料5を見てください。今、都道府県議会や市町村議会、本当に断固反対という声も広がっています。医師会や薬剤師会、JAなども断固反対で広がっています。この立場に立つべきではないでしょうか。それから食料自給率向上にとってTPPは論外です。もっとやるべきことがあります。今、JAからは新規就農者をふやすための青年就農給付金、所得制限があるけれども、所得を上げれば支援金が打ち切られる、頑張る意欲がそがれる、この見直しをしてほしいという声、また鳥取の特産品の梨の網かけ施設が更新時期なのだけれども、網代が高騰しているから助成してほしい、こういう声に応えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)市谷議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  まず、第1点目の雇用関係等につきましては、重ねて商工労働部長から詳細を申し上げたいと思います。  雇用の適正化については、これは労働基本法等の法制の管理の問題でございまして、これは労働局のほうに権限があります。したがいまして、きょうの議場での御議論、御意見も踏まえて、労働局のほうにしかるべく申し入れはさせていただきたいと思いますが、それ以上には我々のところに権限がないことでございます。我々としては、再就職の支援であるとか、それから労働移動を活性化させて県内に有為な人材を残すとか、経済産業の刺激策等を一生懸命やっていく必要があるというふうに考えております。その余のことにつきましては商工労働部長から申し上げたいというふうに思いますが、今回提案している労働移動の緊急対策につきましては、できるだけ柔軟に適用していかなければ実質が上がらないと思っています。したがいまして、ここから先は県のほうの要綱の問題になりますが、最終的な適用関係をつくるときには使いやすいといいますか、現場に沿った要件をフレキシブルに適用するという考え方でやっていきたいと思っております。  重ねて復興関係につきましてお尋ねがございました。これも総務部長から御答弁を申し上げたいというふうに思います。  先ほど申しましたように、国のほうの制度の内容については我々どうしようもないところでございますが、我々としてやるべき復興支援といいますか被災者対策については、前向きに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、日米安保の終了、廃棄規定はどうなっているかというお尋ねでございました。私が日米安保を見直すべきと申したとおっしゃるのですが、ちょっとそこは正直記憶にございません。日米安保の問題については国会でよく議論していただきたいということは申し上げたかもしれませんけれども、それについてはちょっと記憶がございませんので答えようがないわけでございますが、この日米安保につきましては、各党で今回やはり政権公約ないしマニフェストで議論が出ています。民主党さん、自民党さん、公明党さん等は日米安保の堅持、それによる国際秩序といいますか、外向的な立場の確立と、こうした考え方に立って主張をされています。日本共産党さんは日米安保について別の立場をとっておられますが、そういうような状況でございまして、これも今後、選挙戦を通じて議論がなされて、国民の審判の対象になるものと受けとめております。  次に、TPPについてお尋ねがございましたけれども、これは繰り返しになりますが、先ほど来申し上げておるとおり、TPPについてはまだまだ議論が足りないところでありまして、この議会でも先般議決がなされました。私は、その県議会の議決と同じ立場でございまして、慎重にこの問題については検討すべきだという立場でございます。したがいまして、今後とも本議会の決議の趣旨も尊重しながら、国に対して要請活動を行ってまいりたいと思います。  農業関係につきましてお尋ねがございました。これらにつきましては農林水産部長からお答え申し上げたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  岡村商工労働部長 ◯商工労働部長(岡村整諮君)それでは、千代三洋工業の役員会で、また慰留するように言うべきではないかという話もありましたけれども、この千代三洋に関しましては三洋電機が筆頭株主ということもありまして、今回三洋CEBUも含めて優遇措置を講ずるということで、1回限りの募集というふうに聞いております。その後、千代三洋としてどういう経営方針を立てるのかというところについては、正直まだ決まっておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、パナソニック側が責任を持って資金繰り等、それから今後の事業展開にとって雇用を維持していく、今の障害者の雇用はできる限り維持していくということでの再生を図っていくということでは了解を得ています。ただ、障害者の方もいろいろと、この際優遇措置を活用してやめたいという希望の方もあったように伺っておりますので、全て維持できているわけではないのは御案内のとおりであります。ただ、今度の取締役会でとどめるようにというようなことにはならないということで、御理解いただきたいと思います。  それと、まず今回提案しております50人以上の規模に縮小して再生プログラムを適用するようにしておりますが、当然これを厳格に50人ということで適用するつもりはありません。30人、40人でも、やはり鳥取県になくてはならない製造業もありますし、再生のために苦しんでいる企業があれば、新たな制度を創設してでも当初予算でも検討していきたいと思っておりますし、50人というものに限らず、今ローリングをかけて歩いている企業の中では、やっぱり50人から100人ぐらいの規模の中堅クラスの企業さんのダメージが非常に大きいというところもありまして今回提案させていただいているものでありますので、ここは柔軟に対応していきたいと考えております。  労働移動につきましても、どのように周知していくのかということもございました。当然、三洋電機、日立金属での緊急雇用対策会議の中で関係者団体、経営者協会ですとか連合鳥取さんですとか金融機関、労働局、鳥取市、これは恐らく三洋電機、日立金属だけではなくて、この広がりは恐らく全県に広がっていく可能性もありますので、もう少し全県をカバーするような緊急対策会議も必要だというふうに認識をしております。その中でまた新たな施策等についても関係者の御意見をいただきながら手を打っていく必要があると認識しております。  あわせまして、受け入れ企業に対しましての31業種ということでありましたけれども、これは企業立地促進法の中で31業種というのを一応明記しております。これは正規雇用を確保できる可能性のある立地業種ということで指定しております。これは国が指定した業種の中で正規雇用の可能性が高いところの業種の指定がありまして、その指定をほぼ全部網羅しておりますが、今回サービス業等につきましても経営改善をされまして、ぜひ製造業の方の知識が欲しいというような企業さんもありましたので、今回適用しておりませんけれども、こういう新たな事業主体につきましても正規雇用が生まれる可能性があれば、随時追加していきたいというふうに考えております。  それと、三洋電機を離職されて、まだ未就職の方が対象になるかということでありますが、当然三洋電機さんの離職者の方であれば今回対象にしていきたいというふうに考えております。 ◯副議長(稲田寿久君)野川総務部長 ◯総務部長(野川聡君)復興基本法の改正について、重ねてお尋ねをいただいております。  議員のお考えと同じように、被災地のことを思うからこそ、この基本法の中に国民全体で被災地含めて支えていこうではないかという、そういう基本理念が盛り込まれておるものだと承知をいたしております。国税については特別復興税ということで国民全体で、被災地、被災地以外も含めてこの増税でもって支援をしていこうということでありますし、地方税、先ほど申し上げました個人住民税に関する増税につきましては、県も市町村もみずからの地域の緊急防災・減災事業に取り組むための増税ということでございますので、それは被災地に行くものではないと、そのように承知をいたしております。したがいまして、現段階では改正要望をすることは考えておりません。 ◯副議長(稲田寿久君)西山農林水産部長 ◯農林水産部長(西山信一君)農業関係の2点につきまして、補足の答弁をさせていただきます。  まず1点目は、青年就農給付金の所得制限の緩和についてであります。本年度創設をされました青年就農給付金、これは就農前の研修、2年間の準備型と、それから就農してからの5年間の経営開始型という2種類ございまして、所得の安定に資するという目的で設定をされておりまして、年間150万円を給付する制度でございます。本県におきましては本年度、88名の給付を見込んでおるところでございます。本年度中途までは全国的に予算の不足が心配をされまして、希望どおりに給付ができるかというふうな心配がございまして国のほうに要望してまいりましたけれども、本県の場合、予算的には満たされたというふうな状況でございます。  この給付金につきましては国が250万円という所得制限を設けておりまして、これを超すと翌年度は給付されないというふうな仕組みになっております。その設定につきましては、各県が認定就農者という、新規就農者の5年後の所得目標、営農計画をつくるようになっているのですけれども、それの全国の平均をとって設定をしたというふうに聞いております。本県の場合は、所得目標をおおむね300万円というふうに設定をしておりまして、現在の国の基準というのはおおむね適切ではないかというふうに考えております。本年度創設されたばかりというふうなことがございまして、実際、事業実施をする市町村のほうとまた今後相談してみたいと思います。  もう1点、梨だなの網かけ施設の更新についての助成について御質問がございました。  梨の網かけ施設は、気象災害や病害虫、鳥獣被害、そういうものから梨を守るということで、現在県内46ヘクタールに設置をされております。骨組みの部分は20年から30年の耐久性がございますけれども、網の部分というのが10年前後というふうな期間で更新が必要となっております。  県のほうでは網の価格が10アール当たり50万円程度というふうに見ておりますけれども、施工費が加算をされたり、また園の形状によりまして高くなるというふうな場合もあるようでございます。また、県外の関東の産地のほうでは、非常に安い単価で設置ができているというふうなことがわかってまいりまして、産地とともにこの冬に視察をするように予定をしております。いずれにしましても今後JAとよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。 ◯副議長(稲田寿久君)6番市谷議員 ◯6番(市谷知子君)雇用確保の問題、大企業の言いなりでなく国民を大切にすることです。  アメリカ言いなりの日米安保条約、これは御答弁ありませんでしたけれども、日本がやめると通告すれば1年でやめられます。オスプレイ、TPPもこのようなアメリカ言いなりをやめる、対等平等の友好関係を結ぶことで解決の道が開かれる。このことを私は提起をいたしまして、きょうの質問を終わります。 ◯副議長(稲田寿久君)20番森岡俊夫議員 ◯20番(森岡俊夫君)(登壇、拍手)ゆっくりと落ちついて質問したいと思います。  鳥取県の歴史と文化について、知事並びに教育長に質問いたします。  去る11月17日、東京日本橋の三越劇場において、鳥取県ゆかりの山国隊を演題とした浄瑠璃、幕末物語「夜明けの雪・山国隊」が公演されました。山国隊は、古くから皇室御領として続く丹波の国山国郷の尊厳を維持し、官軍の鳥取藩軍従属部隊として戊辰戦争に参加をいたしました。因幡二十二士のリーダーであり、鳥取県初代知事の河田佐久馬が隊長を務め、農民編成部隊でありながら常に最前線でよく闘い、特に江戸での彰義隊との一戦で大活躍いたしました。山国隊の詳しい内容については、平成22年3月4日の前田八壽彦議員の質問の中で披瀝されておりますので、そちらのほうで御確認いただければと思います。  上演はその一節を新内で語り、俳優の津川雅彦氏と元NHKアナウンサーの山川静夫氏が対談で山国隊の活躍を再現するものでありました。当時、山国隊を率いた藤野斎の三男が日本映画の父と言われた牧野省三さんで、そのお孫さんが津川雅彦さんになる関係から、今回の「夜明けの雪・山国隊」の公演に結びついたものでありました。昨年は同じ三越劇場で因幡二十二士の本圀寺事件を題材とした「忘れ雪」も上演され、好評を博しました。このように、遠く離れた東京の地で幕末の動乱期に活躍した鳥取県の輝かしい歴史の一幕が、江戸文化の象徴とも言える新内の名作として語り継がれていくことは、鳥取県人として誇りに思うのであります。  知事は平成22年3月4日の前田八壽彦議員の質問に答えて、鳥羽伏見の戦いから戊辰戦争にかけて、鳥取藩が重要な役割を果たしていることの検証が十分でないことを指摘されました。そして、そうした歴史をもう一度検証する機会を持つべきであると答弁されておられます。その後、幕末動乱期の鳥取藩の活躍について、歴史的検証が進んでいるのでしょうか、知事にお伺いいたします。  次に、学校教育における鳥取県の歴史・文化教育について、教育長にお伺いいたします。  鳥取県教育振興基本計画の中で、鳥取県教育の目指す人間像として「ふるさと鳥取県に誇りを持ち、一人ひとりを大切にして」生きていく人間像を掲げられています。このことを実現するためにも鳥取県の歴史や文化の教育は極めて重要であると考えますが、教育長はどのようにお考えでしょうか、所見をお伺いいたします。  次に、実際に県内の小・中学校でどのような歴史・文化教育がなされているかについて伺います。  県立図書館へ出かけ、小・中学校の副読本にどのようなものが利活用されているか調べてみました。小学生用には、こちらにございますが、昭和54年ポプラ社発行の「ぼくらの鳥取県」、そして中学生用には平成14年県教育委員会発行の「ふるさと歴史めぐり」という副読本がヒットいたしました。いずれの本も内容が豊かで専門性が高く、すばらしい本であるという印象を受けました。これは結構古いものですが、この後に恐らく出ていると思います。このような副読本を活用して、県内の小・中学校でどのような歴史・文化教育がなされているのか教育長にお伺いいたします。  さて、11月25日、114日間にわたる国際まんが博が終了いたしました。その日は、水木しげるロードで、「悪魔くん」と「メフィスト」の着ぐるみのお披露目を兼ねて、駅前から水木記念館までの間、大勢の観光客と妖怪パレードを楽しみました。歩行者天国でもないのに、道路いっぱいに広がって妖怪の着ぐるみたちとうれしそうに歩いている観光客の多さに、地元の者とはいえ、本当にびっくりいたしました。水木しげる人気を改めて感じると同時に、国際まんが博のフィナーレにふさわしいイベントであったと思います。その後、境港市民会館で行われたグランドフィナーレで平井知事は、若者の中に躍動感が生まれた。次の世代のクリエーターたちも活動を始めた。ガイナックスも米子に進出されるようになった。青山剛昌ふるさと館の期間中の入館者は前年の1.5倍で、大きなにぎわいも生まれた。まんが王国という地域づくりのスタートラインに立てたところで、未来に向けて一緒に取り組んでいくときだなどと熱くまんが博の成果について話をされました。今後は、国際まんが博が一過性のイベントで終わったと言われないよう、漫画やアニメを通して鳥取県の魅力をこれまで以上に国内外へ発信していかなければならないと考えます。今回のまんが博で、鳥取県の歴史や文化を初めとする鳥取県の魅力が国内外にうまく発信できたのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、公文書館で発行している「鳥取県史ブックレット」、こちらのほうになります。これは現在10巻出ておりますが、最後まで発刊しますと27巻発刊される予定になっております。「鳥取県史ブックレット」や学校教育で利活用している副読本にも漫画が活用できるのではないかという点について、知事、教育長にお伺いをいたします。  同じく、グランドフィナーレにおいて高校生まんが王国とっとり応援団団長の篠田瑠美奈さんから、県内の高校14校208名の漫画研究部の生徒で鳥取県の歴史や神話、観光、食をテーマとした合同作品集「トリコレ」、こちらです、こちらが高校生がつくり、オフセット印刷された「トリコレ」を手がけたことの発表がありました。これまで日の目を見なかった漫画研究部にスポットが当たり、県内に208名の同じ仲間がいたことにまず驚き、プロの漫画家からの直接指導や本格的なオフセット印刷で製本できたことを心の底から目を輝かせて喜んでいる姿がとても印象的でした。まさに彼らこそが、知事がおっしゃった次の世代のクリエーターなのだなと実感した瞬間でもありました。  先ほど紹介した副読本は、内容や記述はすばらしいものですが、いかにも取っつきにくいという印象を受けます。そこで、知事、教育長にお伺いいたしますが、公文書館が発行している「鳥取県史ブックレット」など、県の歴史的事柄や文化を検証しているような書籍、また鳥取県の歴史や文化を取り扱う教育委員会の副読本にも漫画を活用してみてはと考えております。漫画であれば、子供たちも読みやすいし、難しい内容でも興味を持ってくれることが期待できます。歴史文化を伝える手段として効果があるように思いますが、知事及び教育長の所見をお伺いいたします。  次に、境港市観光協会発行の「漫画故事成語」の県内の小・中学校での利活用について、教育長にお伺いいたします。こちらが境港市観光協会が発行している「漫画故事成語」であります。  同じくグランドフィナーレの最後に、境港市観光協会の桝田会長から、同協会発行の「漫画故事成語」が全国の小・中学校からの注文が1万部を超え、小・中学校の副教材として利用されているとの発表がありました。  「漫画故事成語」は、同協会職員の楠麻貴子さんが、昔から伝わるいわれある言葉を4こま漫画でわかりやすく解説しているもので、平成12年から航空自衛隊美保基地の機関紙、月刊「だいせん」に掲載されていたものを平成19年1月、全72話をまとめ、A5の白黒版で1万部を初刊発行いたしました。「史記」や「三国志」、「韓非子」などの難しい言葉をわかりやすく解説してあることから、千葉大学教育学部附属中学校の国語の副教材として活用されるなど徐々に注文がふえ、現在では、福島県を除く全国46都道府県の小・中学校へ配布した1万部を加え、4万部を超えるロングセラーを記録しています。新学習指導要領国語編でも、伝統的な言語文化に関する事項で、ことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り使うことと明記されたこともこの本が全国の小・中学校での利活用に拍車をかけた要因の一つであると思われます。鳥取県の文化とも言える漫画による国語の副教本「漫画故事成語」が全国で愛されていることは、非常に喜ばしいと感じております。「漫画故事成語」は、県内の学校でも利活用されていると思いますが、その活用状況について、教育長にお伺いし、壇上からの質問といたします。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森岡県議の一般質問にお答え申し上げます。  森岡県議から、まず幕末維新の状況につきまして、因幡二十二士等もう一度検証する機会が進んでいるのかという趣旨のお尋ねがございました。  これにつきましては、御紹介ございましたように11月17日に東京の三越劇場のほうで、津川雅彦さんとかそうした重立った方々が出られまして、大変すばらしいイベントがあったということでございます。その中では、因幡二十士にもゆかりのございます山国隊も取り上げられましたし、その山国隊の取り上げ方も作者が私どもの因幡二十士を検証された作者と同一であるということもございまして、鳥取県にもいい機会であったというふうに思います。  さらに、そのプログラムの中では千葉重太郎とか千葉佐那も取り上げられておりました。千葉重太郎は例の坂本龍馬の物語に出てきますが、剣士でございまして、剣道場の師範でいらっしゃったわけでありますが鳥取藩士でもおられたと。勝海舟の首をとってやろうと坂本龍馬と一緒に出かけたというような話もございますし、また、千葉佐那は龍馬と結婚をするということでございます。最終的にはその後、鳥取藩士と結婚しているというお話もございます。いろいろな縁で鳥取県にも幕末そういう時代のスポットライトが当たっていた時期があったわけでありまして、薩長土肥因というふうに並び称されることもあったわけであります。  ただ、残念ながら薩長ほどに取り上げ方が少ないわけでございまして、そこをどういうふうに我々としても地域からアピールをしていくのかなということであります。幕末で果たした役割は多いです。海援隊にも鳥取県の藩士は参加しておりましたし、それから、先ほど御紹介がございましたように、戊辰の役、鳥羽伏見の戦いから日の出の勢いで結局幕軍を打ち破るわけでありますが、あれも荒尾駿河の独断で兵を回そうと鳥取藩が決めたからこそそういうことにもなったわけであります。その後、許された因幡二十士が参加をするような形で、幕軍を打ち倒す官軍のほうのかなめになるわけでございまして、そういう意味で活躍をした中に山国隊の創設があったわけであります。山国隊のいわば子孫が津川雅彦さんだということで、大変にいい出会いがあったのかなというふうに思います。  この具体的な検証については、詳細、文化観光局長からお話を申し上げたいと思いますが、前田八壽彦議員が質問されたころから、図書館におられた森本さんも頑張られまして、今はやめられて映画を撮っておられますけれども、それも因幡二十士等をモチーフにしたものでございますが、割と元気を出されまして検証が進んできたと思います。現に樗谿神社で山国隊のパフォーマンスも実現しましたし、それから本も出版をされたり、さらに市の博物館、県の博物館でもまた来年度計画をしているとかいろいろとございます。特に興味深いのは、東部だけでなくて割と西部に広がりを持っていることでございまして、景山塾の関係ももちろんあるとは思うのですけれども、それだけでなく、日野町のほうでも泉龍寺の住職さんがこの間来られまして、来年の秋ごろに本圀寺の変というものを題材にしたイベントをやりたいというお話がございました。県としてもそうした各地の検証事業、我々も支援をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、国際まんが博で鳥取県の歴史や文化を初めとする鳥取県の魅力が国内外に発信できたのかというお尋ねでございます。  正直申し上げまして、さまざまなメディアで取り上げられました。開会式もそうでありましたし、閉会のパレードも、議員がおっしゃった妖怪のパレードでありますが、あれもNHKの全国放送でニュースとして取り上げられました。そんなようなことで、いろいろと話題性ができたかなと思います。また、従来の我々のまちづくりだとかさまざまな観光PR等とはまた別のジャンルで、メディアもまた別のメディアが結構取り上げるということになりました。これはインターネット上というものももちろんございますし、それから業界専門系のものとかそうしたところでもそうであります。また、海外の国際マンガサミット参加者を中心として、海外のケーブルテレビ等でも取り上げられました。マンガサミットも韓国のケーブルテレビが取材に来られておられました。  こういうように、鳥取県としてにぎわいのある、行って訪れて楽しいところですよというイメージはある程度できたかなというふうに思います。それがさらに歴史や文化と結びついて発信できたかということでありますが、例えば、鳥取市国府町にございます因幡万葉歴史館におきまして、安彦良和展がなされました。これはオオナムジノミコト、大国主命をモチーフにした題材ではあったのですけれども、ガンダムもあわせて作者でございますので、大分すばらしいコレクションを出しておられまして、割と遠くからも見に来られました。また、里中満智子先生もやはり万葉の時代というものを描かれておられますので、そうしたモチーフでの作品展がなされ、これもにぎわいを醸し出すことができました。従来にはない歴史の発信もそういう意味でできたのではないかというふうに思います。  また、アニメ関係等でガイナックスが進出するとかいうこともございまして、注目もソフトカルチャーで集めることができたかなと思います。その象徴が米子映画事変であったかなと思います。これは、単なる特撮映画を公開する場ということだけでなくて、いろいろなクリエーターがかかわりまして、にぎわいを醸し出すことができました。本当に赤井孝美先生初めとした関係者の方々の物心両面での惜しみない御貢献で実現した事業であるかと思います。そういう中で来場されたのが大林宣彦監督とか、皆さんよく知っているところでモト冬樹さんとか怪談話の北野誠さんとか、そうした著名人も米子映画事変のために御来場いただきまして、トークショー等に参加をしていただいたということもございました。潜在的にはやはり岡本監督なんかもございまして、そういう素地はあったのだと思いますが、そういう文化、芸能関係では新しい拠点づくりというものが芽生え始めたのかなというふうに思います。会場のほうには岡本みね子夫人も来られておられまして、昔を懐かしんでおられたわけでございます。  こんなようなことで、歴史とか文化だとか幅広い発信の舞台になったのかなと思いますが、その成果を今後に生かしていかなければならないだろうと思います。そういう観点で、公文書館で発行している鳥取県史のブックレットがあるけれども、次世代のクリエーターたちが手がけるようなことでおもしろい漫画版みたいなことができるのではないかというお話でございました。  今、御指摘ございました篠田瑠美奈さんを初めとする高校生の応援団が誕生しまして、今回の国際まんが博全般を通じて大変に元気を出されて御協力いただきました。本人たちも貴重な経験、今まで出会うことのなかった名立たる大先生たちと一緒に仕事ができた、そういうことなどの貴重な経験も得ながら終幕を迎えることができました。会派「かけはし」の皆様には、総出でフィナーレイベントにも御参加をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  そういうことで、にぎわいのあるフィナーレイベントを飾った中に高校生たち、次世代のクリエーターの姿がありました。実は鳥取県でも応援をしまして、淀江の歴史を漫画化をしようということをやりました。高校生が非常にすばらしいタッチでその歴史の奥深さというものを描いてくれ、作品ができました。そんな経験もありますので、漫画とどこまで出会えるかということがありますが、わかりやすい形で鳥取県の歴史に親しんでいただける素材を、そういう次世代のクリエーターの活躍の場として制作してみてもいいかなと思います。この辺は教育委員会もかかわるところだと思いますので、話し合いながら実現してまいりたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)補足の答弁を求めます。  細羽文化観光局長 ◯文化観光局長(細羽正君)幕末に鳥取県が果たしました役割の検証の状況につきまして、補足の答弁をさせていただきます。  先ほど知事のほうからも答弁がございましたが、この幕末の鳥取藩の役割、活躍につきましては、近年さまざまな場面で検証の活動が非常に活発化してきております。幾つか具体例を申し上げますと、昨年の9月から11月には、鳥取市の歴史博物館のほうで「因州兵の戊辰戦争~いくさと弔いの明治維新~」という特別展がございました。また、この時期に合わせまして京都の山国隊の軍楽保存会の方が来県されまして、鳥取東照宮のほうでパレードをされたということもございます。また、ことしに入りましては県立博物館のほうの歴史講座ということで、幕末の鳥取藩本圀寺事件ということの講座が開かれまして、多くの県民の方にも御参加をいただいておりますし、また、ことし9月には本圀寺五烈士大法要記念イベント等も鳥取のほうで開催をされております。また、幕末の鳥取藩を描いた自主制作映画「維新の魁-鳥取藩飛翔-」という映画も撮影が進んでいるというふうに聞いております。さらに、来年は本圀寺事件から150周年ということもありまして、県立博物館のほうでも鳥取藩二十二士と明治維新という企画展も計画をされております。さらに、西部の日野町の泉龍寺におかれましては、因幡二十士モニュメントの除幕式及び本圀寺事件150年の供養祭ということで予定されておりまして、県としましてはこういった取り組みを支援をしたり、また積極的に情報発信等に努め、こういった検証作業の推進に努めてまいりたいと思っております。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)森岡議員の御質問にお答えいたします。  最初に、鳥取県の歴史や文化の教育は極めて大事だと思うということで御質問をいただきました。  議員からお話をいただきましたように、県教育委員会では教育振興基本計画というのを立てておりまして、その中で、本県教育の目指す人間像の一つとして、ふるさと鳥取県に誇りを持ち、一人ひとりを大切にして生きていくということを上げております。そしてまた、具体的にはこの地域、ふるさとに愛着や誇りを持つこととか、あるいは美しい自然、歴史と文化を守り、次代に受け継ぐ人という形で示しております。  私は、この子供たちが鳥取県の歴史や文化を学んだり触れたりすることは新鮮な発見があったり驚きがあったりして、郷土のすばらしさを再認識する機会にもなると思いますし、また実際に地域社会の伝統的な行事に参加して、大人たちと触れ合う中で、子供たちは豊かな感性とか、あるいは伝統の重み、あるいは情操というものを育んでいくのだろうと思います。  本県の子供たちは、全国的な調査によりますと、全国の子供たちと比較しまして地域の行事に参加する割合がかなり高いと、特に小学校ではそういう結果が出ております。こうした本県の子供たちのよい傾向を大切にして、地域の歴史や文化、伝統などを学ばせていく機会をふやし、そして受け継いでいくことが大事だと思います。  また、これとは別に、私はこれから子供たちが生きていく時代というのは、非常に時代の流れが速くて、しかも変化が早いというふうに思っております。そういう中で、流されないように、自分自身のアイデンティティーをしっかり持って生きていくということが大事だと思っております。そういうような意味でも、子供たちが自分の住んでいる地域の歴史や文化をしっかり押さえて、それを人生の核、あるいは糧としていくことが大事だと思っております。そういう面でも歴史や文化の教育は大事ではないかと考えております。
     続きまして、副読本の活用についてお尋ねをいただきました。  議員から、壇上でポプラ社のものとか、あるいは教育委員会がつくった副読本を御紹介いただきましたが、今は新しいものとしましては、県内で小学校や中学校の教員が集まりまして教科研究の組織をつくっておりますが、そういう小学校や中学校の社会科の研究部会で副読本をつくっております。小学校では3、4年生向け、そして5、6年生向けと分けまして「私たちの鳥取県」というものをつくっておりますし、中学生向けとしましては「鳥取県の歴史」という形で資料集を作成しております。こうした副読本などでは鳥取藩の歴史や地域に伝わる伝統や文化などが盛り込まれております。小学校4年生では倉吉がすり、淀江傘、因州和紙など鳥取県の伝統文化について調べる学習をしておりますし、中学校1年生では、江戸時代、倉吉の鍛冶町が鍛冶として非常に有名で、千歯こき等の生産で全国の1、2を争ったというふうなことも学んでおります。  私はこうした副読本の取り組みを充実させていくことはとても大事だと思っておりますが、その前にまず、私のこれまでの感覚として、教員側に対して鳥取県の歴史や文化を理解していくアプローチが弱かったのではないかというふうに思います。まず、教員が鳥取県のことをよく知って、その上で教員自身がわくわく生き生きして子供たちに語っていく、そういうことが必要だろうと考えておりまして、このようなことから、来年度は教育センターが行います初任者研修でそうした教員たちがふるさとの歴史や文化を学ぶ、そして子供たちに対して教えることができる、そういう仕組みをつくっていきたいと考えております。  続きまして、3点目でございます。漫画を活用した取り組みについてお尋ねをいただきました。  先ほど議員からも知事からもお話ございましたが、高校生まんが王国とっとり応援団を組織いたしまして、14校208人の高校生が参加いたしました。ことしの5月に結成して以来、いろいろな取り組みをしてまいりました。中には若鳥丸にラッピングをして、航海の中で神戸港に寄り、そこでまんが博の宣伝をするとか、そんなこともやりました。ただ、一番子供たちによかったのは、ワークショップで著名人との交流会を持ったことだと思います。実際に安彦良和先生とか、あるいは竹宮惠子先生と触れまして、作品についてコメントいただいております。特に、竹宮先生からコメントをいただいた子供たちは、「トリコレ」にも載っておりますけれども、非常に喜んで次も頑張っていこうというようなことを言っております。  この「トリコレ」は、応援団の生徒みずからが話し合って、そしてまたみずからが歴史と神話というのと観光と食、この2つの分野、テーマに分けて2冊の本をつくろうということで、自分らが考えて企画したものでありまして、それも私はすごいなと思いますけれども、刊行する過程で子供たちが鳥取県の歴史や文化を掘り下げていった、そして新たな発見をしていった、その意味が非常に大きいというふうに思っております。私自身、実際に完成しました作品を見まして、本当に高校生がここまでエネルギーを持っているのかということで驚きました。  先ほど、議員からは鳥取県の歴史や文化を扱う小学校や中学校の副読本にも漫画を活用してみてはどうかというお話をいただきました。また、「トリコレ」を紹介されたのは、高校生の持っているエネルギーをそういう方面に使ってみてはどうかという意味のお話もあるのではないかというふうに思いました。  私も今回の高校生の取り組みを一過性にしたくはありません。このエネルギーを何とかつなげていきたいと思っておりまして、実は、今年度中に学習教材コンテストというものを開催しようと思って、今募集をしております。例えば、百人一首の情景を描いてみましょうとか、あるいは元素記号、そうしたものを擬人化してみようとか、あるいは偉人の伝記を書いてみようとか、そういうテーマとしておりますが、要はふだんの授業の中で子供たちがつまずいてわかりにくいところ、そういったところを漫画を使って何とかわかりやすくしてみようというコンテストをやろうというふうに思っておりまして、これをやりまして、実は来年度は鳥取県の歴史や文化をテーマとして次のコンテストをやろうというふうに考えております。  そういう形で高校生の力をつなげていきたいと思いますが、議員御提案のように、一気に副読本ができて、それが小学校、中学校の場に配られるということにならないと思いますが、まずそうしたコンテストで出てきたいいものを配って、そして現場で評価、批評していただきながらまたいいものにしていく、そういうことを重ねながら高校生の力を集めて、よい教材が提供できるようにしていきたいと思っております。  続きまして、4点目に境港市観光協会が発行されております「漫画故事成語」についてお尋ねをいただきました。  これは県内だけではなく、全国の多くの小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で導入されて広がっております。こうした背景には、議員がおっしゃいましたように、新学習指導要領の中で故事成語などの古典に関する学習が伝統や文化に関する教育の充実という観点で重視されてきていると、そういうことがあるのだろうと思います。  実際に県内でこの「漫画故事成語」を使っております学校の感想としまして、小学校では、子供たちが言葉の成り立ちがよくわかる、自分の知っている言葉があるとうれしくなる、漫画があって楽しく読めるなどの感想を持って親しみを持って読んでおります。また、漢字に苦手意識がある子供が、気軽に手にとって読んだり、言葉への関心を高めるきっかけになっています。中学校では、故事成語の学習をするに当たり興味を持たせたり、意味やエピソードの確認をしたりするために活用している、漫画であるので生徒にとっては取っつきやすく、身近に感じて楽しみながら読んでいる姿が見える、また、意味の捉えにくい故事成語も4こま漫画という単純な形式で、しかも鳥取弁で書いてあるので生徒にとっては親しみやすく理解しやすいものになっているというような感想があります。  私も、このように学習の中で文字だけでは伝わりにくい内容をイメージとしてつかんだり、あるいは難しい学習内容に導入として興味を持たせていくという面で、この漫画とかイラストは子供たちの学習の理解を助ける有効な手段だというふうに思っております。この点で、「漫画故事成語」は鳥取県で生まれた本当にユニークな教材でありますので、さらに活用されるようにしていきたいと思っております。 ◯副議長(稲田寿久君)20番森岡俊夫議員 ◯20番(森岡俊夫君)御答弁ありがとうございました。  今回の私の質問の趣旨は2つありまして、教育長がおっしゃったように、歴史や文化を検証して後世に伝える、このことは自分たちのルーツが何をこの地域でやっていたかというようなことをしっかり勉強して知ることがこれからの地域づくりの原点になるのではないかなと、そういった意味で、こういう副読本であったり、副教材というのは非常に大切な、重要なものであろうなということであります。その、これから後世に伝えていくものをせっかくまんが博が開催されて、漫画という鳥取県の文化が位置づけられたわけですから、そしてまた高校生応援団、こういった方々もたくさんおられて、本もつくっておられる。教育長がおっしゃったのですが、そういったエネルギーをこれから活用していくということが大切ではないかなというのが私の一つの趣旨であります。  そしてもう一つは、鳥取県の幕末の歴史に関してでありますけれども、2018年がちょうど明治維新から数えて150年を迎えるわけであります。そのときに、全国的な動きを見てみますと、長州、山口県でいえば、明治維新150年祭というふうに銘打って、もう既に去年あたりからディスカバー山口ということで、明治維新で活躍した著名人の家を探索したりとか、そういうイベントが始まっているわけであります。知事もおっしゃいましたけれども、同じ薩長土肥因と言われて官軍の中にありながら、鳥取藩の活躍がどうもうまく世の中に伝わっていない、また県民の中にも伝わっていないような気がしております。要は、2018年、明治維新150年、私の気持ちとしては、やはりここは鳥取藩、鳥取県の歩んだ歴史をしっかりと県民にわかっていただいて、そしてまたそれを県内外に発信をして県に来ていただく、そういった仕掛けができないのかなという思いがありました。  先ほどからお話が出ておりますけれども、本圀寺事件、これはやっぱり同じ藩内の中での事件でありますので、なかなか表に出づらいということが今まであったのではないかというふうに私は思っております。たまたまこの副読本を県の図書館に探しに行ったときに、大正10年に発刊された「大因伯」の創刊誌がありまして、それは持ち出し禁止になるぐらい貴重な歴史検証本になるわけですけれども、やはりその中でしっかりと本圀寺事件の内容もあからさまに書いてありますし、鳥取県にゆかりのある人物たちの活躍というのが非常に中身が濃い内容で書かれていました。ただ、全くこういったことが表に出てこない。明治維新150年を祝うということではないのですけれども、そういう気持ちにならないのは、何とはなしに鳥取県民の中にそういう本圀寺事件にまつわるような要因があるのではないかというふうに私は個人的にも考えておりまして、先ほど知事も泉龍寺さんのほうで来年そういったことの法要式があるというお話がありました。私は、やはりこれをきっかけに明治維新150年をしっかりと検証するということが鳥取県としても大事なことではないかというふうに考えております。その点についての知事の御所見を伺います。  歴史や文化の検証をこれから子供たちにどうやって伝えていくかということであります。まさに教育長がおっしゃって、本当に来年度からいろいろと学習教材コンテスト、偉人の伝記、こういったことをしっかりと高校生たち、中学生でもいいのですけれども、しっかりとそれを受け継いでいただければと思います。  鳥取県教育委員会の「鳥取県郷土が誇る人物誌」ということで、非常にたくさんの方々がこの中に書いてあるのですね。ただ、こういう方々の活躍というのがなかなか子供たち──この本を読めというのは無理な話でありまして、そういったのを一人一人個人的に興味を持ったクリエーターたちが何かの物語にしていくと、そういう作業が重要ではないかというふうに思います。  もう一つ紹介させていただきたいのは、お隣の島根県さんが神話博をやられたのですけれども、その後に発行された「スサノオ」という物語であります。まさに古事記1300年祭、天地創造からスサノオの誕生、そういったことがわかりやすく漫画として紹介をされております。また、この後に先ほどオオナムジの話が出ましたけれども、「オオクニヌシ」がこの後に3巻続けて出されております。こういう本を見ますと、本当に中身もよくわかりやすいですし、子供たちもしっかりとこういう内容を読んでいただければ、自分たちのルーツがどういうことをしていたのかということが本当にわかりやすく書いてあるなというふうに思います。  そこで、一つ御紹介をしたいのでありますが、「スサノオ」というこの本を構成された酒井董美さんという方の解説であります。私が小学生になったころ子供用に書き直された「古事記」をおもしろく読んだ。冬の夜長、一人、電灯の下で黄泉国の予母都志許売たちが伊耶那岐命を追いかける挿絵をこわごわ幾度もページをめくり返して胸踊らせて読み急いだ思い出が懐かしい。古代人が描いた天地創造の想像力は壮大でドラマチック。ロマンに満ちた神話の楽しさを理屈抜きに子供に味わってもらいたい。そして本書を楽しく読んだ思い出が将来「古事記」そのものに接することとなり、さらに多くの古典に触れる糸口となると指摘をされております。私もまさにそのとおりであろうと思います。  また、先月の29日、米子市で全国各地で論語などを学ぶ寺子屋運動に取り組む古典学習陶冶会の講演がありました。松田一三さんがその中で、かつて寺子屋で古典が教えられていた。後の人生で学んだことが生きてくる。子供たちも巻き込み、日本人の知識が深まってほしいと挨拶されております。まさにこの「漫画故事成語」などはその典型であろうというふうに思います。こういった古典教育について、先ほど教育長もるるおっしゃいましたけれども、さらに教育長の考え方について御所見をいただければと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森岡県議から重ねてのお尋ねがございました。1つには歴史、文化、そうしたルーツを知る、そのためにも漫画というものを活用しながらやってはどうかということ、それからあと、明治維新150年に向けて運動を展開してはいかがかという2点のお尋ねをいただきました。  どちらも基本的に賛成でございまして、教育委員会とかそうした方面とよく協議をさせていただきながら進めてまいりたいというふうに思います。  今のお話の中でもいろいろと登場した本圀寺事件でございますが、この事件というのは確かに同じ鳥取藩の中の果たし合いという部分がございました。その意味で、ちょっとほどきがたい、少し難しい題材であったことは間違いないのかなというふうに思います。ただ、先般、景福寺という鳥取市内のお寺さんで法要が営まれました。そこのお寺には黒部権之介さんという方が眠っておられるわけであります。このほかにも早川氏等、本圀寺の事件で殺されてしまった方々がいらっしゃいます。こういう方々を因幡五烈士と言うわけでございますが、この因幡五烈士の法要を景福寺で行うということになりました。これが9月30日に行われたわけでありますが、そこにあわせて因幡二十士側、数えようによっては二十二士ということになりますが、因幡二十士側も法要に来られまして、そこでいわば150年ぶりの和解を遂げるということになりました。御遺族同士で間を森本さんが取り持たれてお話をされまして、これからは仲よくしましょうといいますか、過去の恩讐を超えて鳥取県の発展のため頑張りましょうと、そのような趣旨だと思いますが、和解をされたわけであります。  今後はもう少し、そういう意味で取り上げやすくなるのかなというふうにも思います。先般来られました三島住職さんがおっしゃっていましたけれども、これは本圀寺事件は1863年の出来事でありますので、来年がちょうど150年目になります。そこで、150年記念の行事として泉龍寺のほうで除幕式をやろうということを計画されていますが、これもそうした意味で両方の当事者が出られて、そういうイベントになるのではないかと期待をしているところでございます。  この時期は、やはり鳥取藩が輝いていたころでありまして、また、今の世相を考えますと、明治維新のころというのは日本人にとってある意味教訓を残す一つの時代のページになると思います。その中で鳥取藩が果たしてきた役割、鳥取の人々が果たしてきた役割というのはもっと顕彰されてしかるべきだと思います。かなり突っ込んだ関与をされました。まずは池田慶徳公は教育をされるわけです。水戸学派を持ち込まれて、こちらでいわば尊王教育をされるわけであります。そういう中で、気持ちをたぎらせて日本のために頑張ろうという志士が鳥取藩においても誕生するわけであります。それがゆえに本圀寺事件が起きたわけでございます。そういうルーツがあって、一旦は幽閉をされたり、手結浦であだ討ちに遭ったりいろいろありましたけれども、因幡二十士が中心となって、もう一度新しい時代をつくる中心に鳥羽伏見の戦い以降立つわけでございます。その辺も一つの、いわば国をつくるというドラマそのものでございまして、おもしろい部分があるのではないかと思います。  そういう意味で、漫画を活用するというようなアイデアであるとか、明治維新150年をにらんで鳥取県もこれから準備をしていくということはしかるべきことではないかと思います。できれば、さっきの千葉重太郎や千葉佐那の縁もありますので、高知県であるとか、薩長土肥のほかのところともある程度タイアップしながら、一つの大きな流れをつくり出していければおもしろいかなと思います。ことしは古事記についてそういうモーメントをつくることができた年だと思います。それから考えれば、同じように志をともにする地域はあろうかと思いますので、我々も積極的にそういうところに参画をしてまいりたいというふうに思います。  そうやって一つの運動を起こしていくことで、鳥取県の若い人たちが鳥取県のルーツに対して誇りを持ったり、鳥取県の人々の志というものに触れて、将来は社会に尽くしていこうと、そういう人材も生まれてくるもとになろうかと思います。そんな意味で、議員がおっしゃったように、漫画というツールも活用したり、150年目を目指した運動展開、いろいろな積極的な事業の仕掛けを考えてまいりたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)森岡議員の御質問にお答えいたします。  議員からは古典教育についてお尋ねをいただきました。  先月になりますが、私は夜、あるテレビを見ておりまして、そのときにドナルド・キーンさんが出てこられました。ちょうど90歳になられますが、東日本大震災の後、日本国籍を取られた方であります。そのドナルド・キーンさんが高校で古典を学んでも大学入試が終わると離れていってしまうと。日本はもっと古典を大事にした教育をすべきだというようなお話をされておりまして、非常に考えさせられるところがありました。  古典というのは、時代が変わっても普遍的な価値観だとか先人たちの生き方、知恵、そういうものがたくさん含まれておりまして、子供たちにとっても私たちにとってもこれからの自分の人生とか生き方を考える上でとても参考になると思います。また、ことしから国民が古典に関心を持って親しむ日として、11月1日が古典の日として定められました。  しかし、古典といいますとやっぱりかたいイメージがありますし、難解なイメージがあります。多くの子供たちにとっては読みにくいところがありますので、学校の図書館などでは子供たちが古典に親しむきっかけになるように、易しく書きかえたものとか、あるいは漫画などを配置しております。この春に水木しげる先生が出版されました「水木しげるの古代出雲」というものも多くの学校図書館に配架されております。私自身も横山光輝さんの「三国志」だとか「項羽と劉邦」とか「水滸伝」、そういうものを読んで中国の歴史をイメージすることができましたし、そういうことは多くの子供もそうだと思います。ですから、余り難しいことから入らずに、子供たちの興味関心から入っていくということも大事ですし、そういうことを工夫しながら子供たちの古典に親しむ環境づくりをしていきたいと考えております。 ◯副議長(稲田寿久君)20番森岡議員 ◯20番(森岡俊夫君)知事のほうからは、本圀寺事件の両方の御子孫の方が来られた景福寺でのイベントの話がありました。さらに来年は、泉龍寺さんのほうには池田百合子さんもお見えになると伺っておりますので、そのときにはやはり皆さん全員が集まるぐらいの規模のイベントにしていただければと思います。  土佐と因幡の関係、それから龍馬と佐久馬の関係ですね。まんが博の中で知事もおっしゃいましたけれども、まんが王国友好通商条約、これも高知県と鳥取県が結んでおられる。今の自民党さんでいえば、安倍総裁と石破幹事長、長州と因幡の関係になるわけです。そういったコラボレーションを今後どんどんどんどん膨らませることができるのではないかというふうに思いますので、明治維新150年に向けてのしっかりした対応をしていただければと思います。  次に、高校生クリエーター、こういった新しい芽がしっかりと芽吹いてきたわけですね。それから、赤井孝美さんのガイナックス、こういったコンテンツ産業も出てきたわけです。これからはそういう点と点をしっかりと結んで、またそれを面にして、また面を組み立てる、そういう作業が必要になってくるわけでありますけれども、その中で私が注目しているのが、米子に開設されましたデジタルハリウッドのことが非常に注目されておりまして、実は12月1日の米子校開設のとき、たまたま私は中海テレビにおったものですからそのときに一緒になってしまって、デジタルハリウッドとは何だろうなということを思っていました。そうすると、その翌日にマイクロソフトに勤める私の友人からフェイスブックにメッセージが入りまして、デジタルハリウッド米子、よろしくねというメッセージが入りました。何のことかなと思ってもう一回問い合わせてみましたら、こういう答えが返ってきました。デジタルハリウッドはスクールで学び、その卒業後、クリエーターとして就職、また個人や仲間と起業する者、各種セミナーの講師として活躍する者、地域や地元に元気で熱いパワーを持つさまざまな人材を創出している。学校としてはスクールからスタートしたものの、各地での実績から世の中が求める人材育成のための文科省認定の大学や大学院の創設、さらには海外での開校の実績がある。また卒業生の業界活躍率はかなりのもので、本人のセンスや技術力が一番重要であることは言うまでもないが、基本的な技術を学んでいることから、デジハリ出身というブランドは在籍中のみならず卒業後の影響力は絶大ということから、国内のみならず世界からの注目を集めたり、人々を呼び込んだり、ビジネスとビジネスをつなげたり、またビジネスを拡大したり、地元の活性化には欠かせないクリエーターの育成に大きく寄与している。最近は、かつてのように東京で学んで東京で格好よく働くということではなく、都会でも地方でも自宅でも、どこにいてもネットがあれば仕事として成り立つ時代。東京から地元に帰って農家を手伝いながらダブルで生計を立てているクリエーターもいる。鳥取県としてもデジハリのノウハウを存分に発揮して、県の魅力を世界へ発信して認知度のアップなど地域の活性化やさらなる発展の起爆剤にしてもらいたいというメッセージをいただきました。まさに鳥取県が必要とする人材育成のための学校ではないかというふうに考えております。  その中で、デジタルハリウッド、各県にあるわけですけれども、福岡県なんかは行政の中にそういった推進室を設けたりして、行政もバックアップしている、こういった流れがあるわけです。こういったクリエーターたちを育てたり、コンテンツ産業をつなげて世界へ向けて発信するために、このデジタルハリウッドに向けての知事の思いを聞かせていただきたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森岡議員から重ねてのお尋ねをいただきました。  まず、幕末のことにつきましては、議員のほうから御指摘がございましたとおり、高知とか山口とか関係の地域とどういう連携ができるのか、先方ともまず話し合ってみたいと思います。そういう中で、お互いに相乗効果でPRできる素材ができてくればありがたいと思います。  次に、デジタルハリウッド米子校につきましてお尋ねがございました。  このデジタルハリウッドでございますが、クリエーターの養成学校でございまして、国内、そして国外でも展開をしているというものでございます。本県には米子への進出がございましたけれども、実はこれは関係者の間では非常に珍しいといいますか、驚くべき出来事として捉えられているようです。といいますのも、大都市部でデジタルハリウッドというのはやるものでありますが、地方展開ということは本県が初めてのことになりました。ただ、そこでやっているのは、せんだって海外進出してタイのバンコクで始めた教室と非常によく似た教室形態を米子に持ち込んでおります。ここでの生徒募集も始まりました。33名の応募がありまして15名に選抜をしました。これは県のほうの創業ベンチャーの支援事業とタイアップをしています。卒業しますとデジタルハリウッド側が仕事を提供すると、一人親方のような形で創業ができるというようなセットものでの受講でございました。また、そのほかの講座も1月から本格的に動いてくるということでありまして、徐々に受講生がふえてこようかと思います。  これからの時代はこうしたクリエーティブな仕事のほうが産業の中の一つのウエートを占めてくるだろうと思います。単に物づくりだけでやっていくと、海外との激しい競争があります。ただ、アニメや漫画を初めとしたこういうクリエーティブな仕事の世界というのは、日本は先行者利得といいますか、やはり一つの城のような基軸を築いていまして、その意味でこれからもチャンスがあります。  また、インターネットが発達した時代でありますから、議員もおっしゃったように、例えば農業をやりながらITビジネスをやるということも可能なわけでございまして、鳥取県のような環境においてもビジネス環境はあるし、創業環境もあるということだろうと思います。その意味で、今回はウエブデザイナーの講座が始まりましたが、今後はそれにとどまらず、そのほかの分野の講座も検討するというふうにデジタルハリウッド側は言っています。これからも鳥取県の雇用政策だとかソフト産業の振興策だとか、創業ベンチャー支援、こうしたものと組み合わせながら、我々としてもチャンスだと思いますので、デジタルハリウッドの進出を活用できるように展開を図ってまいりたいと思います。 ◯副議長(稲田寿久君)暫時休憩をいたします。  午後3時20分より再開いたします。        午後3時10分休憩    ────────────────        午後3時20分再開 ◯議長(伊藤美都夫君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  33番藤縄喜和議員 ◯33番(藤縄喜和君)(登壇、拍手)ようやく順番が回ってきました。先ほども議論がありましたけれども、まんが博、マンガサミットが閉会いたしました。これから質問に入りますけれども、答弁によっては長くなるかもしれません。10億円の投資効果が次年度以降に及ぶよう、今後のまんが博に関する事業の展開に注目していきたい、そう思っております。その漫画の影に隠された感のあるというと、いささかひがみっぽくなりますでしょうか。忘れちゃ困るジオパークの心境で質問に入りたいと思います。  光陰矢のごとし、山陰海岸ジオパークが世界ジオパークネットワーク、以下GGNに認定加盟以来2年2カ月が経過いたしました。当時を振り返ると、ガイナーレのJFL優勝、J2昇格、NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」効果もあって、水木しげるロードが370万人、そして山陰海岸ジオパークの世界認定と、ガイナーレ、ゲゲゲ、ジオパークと3つのGをゲットし、県内はそれなりに沸き返ったものであります。  しかしながら、これらの3つのGは、それぞれが試練を乗り越えなければなりません。ガイナーレはJ2から降格制度があります。ゲゲゲはまんが博閉幕後のブームの下火が心配であります。そして、ジオパークは4年ごとの審査であります。2年後の再審査に向けて、山陰海岸ジオパークは2年2カ月の間さまざまな活動が展開され、ジオパークの認知度もうなぎ登りとまではいかないまでも、それなりの成果を実感しておりますが、知事の率直な評価を伺いたいと思います。  一昨年10月の認定の折に、GGNから10項目にわたる改善が指摘されました。このうちの半数は既に改善され、GGNからも了解を得ていると伺っております。しかし、道半ばの項目もあろうかと思っております。例えば、グローバルジオパークの中核をなすようなメーンのジオパークセンターが必要、またジオパークというものは単に地質学の話にとどまるものではないということを全ての関係者が認識すること、そして、地質学的遺産について、国内にとどまらず国際的にも価値を高めるよう努力することなどでありますが、これらの指摘に対する改善の状況について、知事にお尋ねいたします。  2年後の再審査をクリアするには、これらの指摘への対応状況が大きく影響するのは明らかであります。今後の対応についても知事にお尋ねいたします。  本年7月、山陰海岸ジオパーク推進三府県議会議員の会の役員で関係省庁を訪問し、意見交換をしてまいりました。テーマの柱は、ジオパークにおける国の所管についてであります。現状において担当する所管省庁がなく、ジオパークを一体的に推進する上で支障を来しております。観光庁、環境省、文部科学省と訪れた感触では、あくまでも感触ですが、環境省、文部科学省は前向きな姿勢でありました。ジオパークを推進する上で、国の所管を設けることは重要な案件であると考えますが、知事の意見を伺いたいと思います。  去る11月23日、兵庫県新温泉町湯村で山陰海岸ジオパーク国際学術会議があり、参加してまいりました。「ジオパークを活用した教育と学習」がテーマで、日本ジオパーク委員会の尾池和夫委員長、2年前、認定審査のため山陰海岸を現地調査されたニコラス・ゾウロス氏が講演される等充実した会議でありました。その中で、東京学芸大学地理学研究室の小泉武栄先生の講演が大変印象深い内容でしたので、紹介させていただきます。  「日本の学校教育における自然教育は極めて貧弱である。断片的で体系的なものになっていない。一方、自然教育にかわって重視されているのが環境教育である。地球温暖化を初めとする地球環境問題に中心が移り、温暖化に伴う海面上昇や災害の激化、森林破壊と砂漠化、動植物絶滅など、こういったものが小学校から高校まで繰り返し教育される。このような、地球は病気だということばかり教える環境教育は、青少年から生きる力を奪うばかりでマイナス面が多いため、まずは地球や自然のすばらしさを教えるべきと主張してきたが、このような意見が取り上げられる余地はなさそうだ。そうした中でジオパーク活動が始まったが、この教育では地球史やすばらしい自然景観、ジオに結びついた動植物の分布など、広い意味の自然史が扱われるため、自然の理解が進み、受講者には大変好評である。」これは大学生を中心とした方々です。「特に、これまで地球の問題点ばかりを聞かされた学生諸君からは、「日本にこんなすばらしいところがあったんですか、ちっとも知らなかった」という好意的な感想が多数寄せられております。ジオツアーやジオエコツアーに参加することで、環境教育の悪影響を受けて、生きる力や元気をなくした青少年にそうした力を取り戻してほしいと思う」。抜粋であります。実に的を射た視点で、目からうろこのお話でありました。ジオパークの教育的価値を再認識させられたところであります。知事の所感をお尋ねいたします。  ぎふ清流国体につきましては、先日の横山議員の代表質問における教育長の答弁でおおむね理解いたしましたが、何点か教育長の決意をお聞きしたいと思います。  少年勢の活躍は、成年に引き継がなければなりません。それなくして国体30位台定着は厳しいものとなりますが、教育長にその対策を具体的に示していただきたいと思います。成年層を取り巻く環境が厳しいことは御案内のとおりであります。その中で、全国屈指の強豪チームとして多くの実績を残してきた競技に、三洋電機の軟式野球チームとバドミントンチームがあります。特に、軟式野球チームにあっては、昭和60年の鳥取国体での優勝を初め、国体優勝2回、天皇杯優勝3回と輝かしい実績をつくり上げてこられました。ことしも10月26日から31日まで、沖縄で開催された天皇杯で優勝し、昨年に続く全国制覇2連覇は大快挙であります。県内のスポーツ界のみならず、鳥取県の財産であることに間違いはありません。その三洋電機チームのユニホームの胸のマークが、ことしはパナソニックに変わりました。選手の皆さんは、会社の行く末に不安がある中、力の限り戦った姿は感動的であったと伺っております。三洋電機野球部の評価と今後について、教育長にお尋ねいたします。  昭和60年の鳥取国体から27年が経過いたしました。現在、2巡目の開催となっており、中国地方では広島、岡山、山口が既に開催され、鳥取、島根が未開催となっております。計画では9年先の平成33年の三重大会まで決定されていると仄聞しております。2巡目の鳥取開催について検討すべきと考えますが、教育長のお考えを示していただきたいと思います。  以上、壇上からの質問といたします。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤縄議員からの御質問にお答え申し上げます。  私のほうには、山陰海岸ジオパークにつきまして何点かお尋ねをいただきました。  まず、2年後の再審査ということがございますが、ジオパークについて率直な評価、考えを聞くと、こういうことでございます。  この時期、議員もおっしゃったとおり、確かにガイナーレも昇格を決めました。ことしは厳しかったですけれども、何とかJ2に残ることが決まりまして、新しい監督も誕生することになりました。ぜひ再起を図ってもらいたいと思います。また、「ゲゲゲの女房」のほうも境港、これから少しずつフェードアウトではないですけれども、だんだん力不足になってくるのではないかということを心配をしておりましたが、ことしも250万人を突破をするということにもなっておりまして、まずまずであったかと思います。国際まんが博の効果もあらわれてきたかなという感じがいたしました。そして、もう一つのジオパークでございますが、これもせっかく世界の地位を得た大きな財産でございますので、我々としてもむしろもっともっと発展をさせて育てていかなければならないと思います。  この山陰海岸の価値というものは、多くの方々が認めるところでございました。だからこそ世界のネットワークに選ばれたわけであります。私自身先般、10月に島原のジオパークのほうに行ってまいりました。なかなか他のジオパークまで足を伸ばす機会がなかったわけでございますが、島原のほうに参りまして、この間は世界大会も開かれた、いわば日本の中のジオパークの最先進地であろうかと思います。そこには国のほうの災害対策もありまして、非常に立派な施設もありましたし、町じゅうがやはりジオパークを生かしたまちづくりを考えている、そのことがよくわかりました。鳥取県、兵庫県、京都府にまたがっているというハンディキャップはあるのかもしれませんが、我々としても学ぶべきところはしっかり学んで、ジオパークをてこにした地域づくりにぜひつなげていきたいと思います。  島原の場合でいえば、やはり火山活動がつい最近もあったこと、あるいは島原大変肥後迷惑という言葉にありますように、これまでも山の活動の結果、有明海を挟んで双方を災害が行き来をするといったような大惨事があったり、さまざまな歴史が最近もあったということがございます。ですから、いろいろな史実もあって深みのあるアピールができるところかなと思いました。また、その施設整備についても災害復旧事業も絡んでいるものですから、ある意味惜しみなく、そうしたいろいろな魅力づくりが行われているというふうに思いました。ただ、私たちの山陰海岸もこれに負けないほどのきれいな景観もございますし、温泉を初めとした魅力は島原よりもむしろあるのではないかというふうに思います。ですから、そういう我々の強みと弱みと、足らざるところはよくよく分析をして、これから戦略的に取り組んでいかなければならないのだろうというふうに思います。幸い、ジオパークに指定されたことで認知度も徐々に上がってきましたし、入り込み客数もふえてきたと思います。私たちが経営しております山陰海岸学習館は3倍の人出になりました。また、集客力が比較的ある玄武洞とか、それから京都のほうの施設もそうでありますけれども、そうしたところでも着実に入り込み客はふえております。やはりジオパークということで、一つ目玉が加わった効果があるのではないかと思います。  ただ、一体的な取り組みをもっと強めなければならないと思います。そのために関西広域連合であるとか、それから市町村も入った協議会の場を十分に活用して、これから2年先の再指定を目指して頑張る必要があるだろうと思います。  そういう中で、先般10月20日にジオパークディスカバリーという北近畿タンゴ鉄道の特急車両が鳥取駅のほうにも入ってきまして、イベントをさせていただきました。満杯の人が乗っておられました。やはりそれだけ興味はあるのだろうと思います。大半、姫路とか神戸といった山陽、関西の人たちが多かったです。もっともっといろいろな旅の形を提案をしたり、仕掛けをしていけば、まだ道は開ける余地があるのではないかと思います。鳥取県も協力をしながら、関西広域連合で京都駅、大阪駅、また三宮駅でイベントを打っております。これも2年連続してやりましたけれども、認知度は着実に上がっていると思われます。徐々に浸透してくるのではないかと思いますが、もう少し国際的な取り組みをやっていけばいいのかなという気がいたします。それはユネスコの支援というジオパークネットワークでございますけれども、やはりもっと国際的にもアピールできるような、そういうステータスを関係地域と一緒に求めていく必要があるのかなと思いますが、これについては鳥取県にも来られて、世界ジオパークネットワークの加盟に預かった審査員でございましたパトリック・マッキーバーさんも同趣旨のことを発言されておられます。ぜひもう一度高みの運動も他のジオパーク地域と連携しながらこれからやっていくことも大切ではないかと思います。  次に、世界ジオパークネットワークから10項目にわたる改善点が指摘されたけれども、改善の状況についていかがかということでございます。  10項目のうちの6項目は既に解決済みで、これはジオパークネットワークのほうにも了解を得ているところでございます。残り4項目、次の再審査に向けて宿題が残っていると思われるところであります。  1つ目が、地質学的な話に限らずジオパークを称揚することということでございますが、例えば歴史だとか生活風俗だとか食だとか、いろいろな魅力がございます。この辺も含めてガイドさんにきちんと案内をしていただけるように体制を組んでいるところでございます。  2番目にはインフラ整備は適切に行われているけれども、中核となる拠点施設やいかにと。  これは前回、若干力不足と言われたところでございます。これについては他の兵庫県や京都府ともこれから相談を詰めていきたいと思いますが、現在の中核施設は新温泉町の浜坂にある施設でございます。行っていただくとおわかりいただけると思うのですが、もう一つアピール力に欠けるところがございます。ただ、そこがセンターとしての役割をずっと担ってきました。いっそ、鳥取県内にある山陰海岸学習館も中核施設の一つとして位置づけて、いわばツーヘッドで展開をすることもあるのではないかなと思っていまして、そんなアイデアも今ジオパークの協議会のほうに投げておりまして、これも真剣に今話し合いを始めたところでございます。  3点目として、個々のジオエリアを宣伝するのではなくて一つのジオパークとしてやっていくべきではないかということです。  議員のほうからもかつて要請がございました110キロメートルウオーク、これも恒例のイベントとなりつつあります。ことしの場合はサイトを分けまして、110キロをつなげて一つのまとまりにするというやり方をとりました。そんなことでこれも続いておりますし、先ほど申しました列車のイベントであるとか、またジオサイトごとにそれぞれ独立したような表示をやめて、ジオパーク全体での統一的なやり方にしたり、スタンプラリーをやったりと、そういう展開を図っております。  4点目としては、国際的に価値を高めるような努力をすべきではないかということでございます。  この間も議員の御参画をいただきました11月の勤労感謝の日のときのように、国際的な学術研究会議をたび重ねて最近はやるようになりました。さらに、平成27年度には、アジア太平洋地域のジオパークネットワークの国際会議を誘致することに成功しました。さきの島原大会のときに最終的に決まってきました。こんなようなことで、この辺も着々とやっているのではないかというふうに思います。  ただ、それが評価を受けるかどうかというのはまた別でございますので、我々としても万全を尽くして今後やってまいりたいと思います。  次に、ジオパークについて、所管官庁を設けて一体的な推進を国としても図るべきではないかというお話がございました。  これもまさにそのとおりかなと思います。先ほど申しましたような国際的な動きも絡めながら、国のほうでも責任ある推進機関をつくっていただけるように、私どもとしても働きかけを今後もやっていきたいと思います。  現在のところは、環境省であるとか国土交通省の観光庁であるとか、また文部科学省であるとかいろいろと分かれてきているところでございます。そういうところではなくて、まずは基本的な担当部局というのを求めることも第一歩かなと思います。  あと、さまざまな国の施策を引き出していくことではないかと思います。来年は私どもでエコツーリズムの国際大会を開催することにいたしておりますが、ジオパークというのはエコツーリズムの大きな舞台になるところでございます。したがいまして、そういうようなことなどを通じて、国のほうでもプロモーションを応援してくれるような仕掛けをいろいろとつくっていく必要がある、ジオパーク全体がそうではないかと思います。  そうした関係で、最後に議員のほうから御指摘がございましたように、小泉先生のお話があり、環境教育を生きる力、元気をなくした青少年に改めてジオパークらしく力を取り戻すようなことをやったらどうだろうかと、こんなようなお話があったということがございました。  今まで地球がいじめられているとか、あるいは廃棄物がどうだとか、そういうような観点でのいわば危機感をあおるような教育が先行したのかもしれません。ただ、せっかく私たちの目の前に世界に通じるジオパークがあるわけでありますから、これを生かした環境教育によりまして、人間としての力を取り戻す、育てる、そういう場になればと思います。現実にも岩美西小学校もこの山陰海岸ジオパークを活用しながらいろいろと教育の面でも生かしておられます。例えば、酒宴洞門だとか命名の由来がどうであるかとか、また菜種島を初めとしたあの地形がどういうふうにできてきたかとか、さらに海の生き物であるとか、そうしたことを教育の中、学校生活の中に取り込んで生かしておられます。こういうようなことはもっともっと普遍的にできることだと思います。  考えてみれば、岩美のジオパークの近辺ではダルクさんが人間としての生き方をもう一度取り戻す、そういう活動をダディクションといいますか、毒を抜くという、そういう関係でされたりもしておられるわけでございまして、そういうような舞台にもなり得るところであります。かつては澤田夫人が戦争の落とし子のような子供たちを連れてきて、いわば自然の中で心も体も育むというような活動をされたこともあるわけでございまして、議員がおっしゃるように、今までとは違ったスタイルの環境教育、雄大な自然を感じながら人間としての感性だとか体力、そういうものを磨いていくようなことがあってもいいだろうと思います。この辺は修学旅行とか、それからシュノーケリングだとかシーカヤックだとかを初めとしたニュースポーツ、こうしたところにも通じるところでありまして、我々ジオパークが目指している方向性とも一致すると考えております。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。
     横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)藤縄議員の御質問にお答えいたします。  最初に、国体競技での成年の課題と対応についてお尋ねをいただきました。  議員御指摘のとおり、少年の活躍に対しまして、近年成年の低迷が続いておりまして、改善すべき課題であると思います。第62回の秋田国体で202.5点を獲得して以降低下傾向にあります。第66回の山口国体で100点を割り、今回、ここ10年間でも最低の得点となっております。  大学や企業が少ない本県におきましては、成年を強化する対策としまして、今のところ4つの視点を上げまして検討していこうと考えておりますが、まず1点目としまして、地元大学との連携を強化すること、2点目としまして、大学等卒業した後で地元の定着を図るため、受け皿の開拓をしたり確保をすること、3点目はクラブチームの充実、強化、支援を図ること、4点目としましてふるさと選手制度活用のための情報収集とネットワークづくり、このことを考えております。  まず1点目の地元大学との連携強化につきましては、平成22年から県内の大学とスポーツ協定を結びまして、強化部を指定して支援を行っております。昨年度までに鳥取大学ではボート部と弓道部、そしてソフトテニスを指定しましたし、鳥取短期大学ではソフトボール部を指定しました。さらに今年度は新たに鳥取環境大学の陸上競技部を指定しましたし、来年度は米子高専のヨット部を指定する予定でいます。  2点目の卒業後の受け皿の確保につきましては、これは横山議員の御質問にもお答えしましたが、教員採用候補者選考試験で、スポーツ、芸術分野に直接関連する教科、保健体育、音楽、美術でございますが、この教科の志願者につきましては、今年度より一定の要件を満たす場合に第1次選考試験の全てを免除するなどしまして人材確保に努めました。その結果、平成25年度の採用候補者選考では、中学校で4名がA登載となりました。あわせまして、教員以外での受け皿を確保するためには、県体育協会や競技団体と連携しながら、県内企業等にさらなる受け皿としての働きかけをしていく必要があると考えております。  3つ目のクラブチームの充実、強化等につきましては、ジュニア期から一貫して育成してまいりました選手の受け皿づくりの一つの方策として、成年を対象としたクラブチームを立ち上げたり、支援していく仕組みづくりができないか、関係団体と連携しながら検討していく必要があると思います。  最後に、4点目のふるさと選手制度の活用につきましては、高校を卒業して県外の大学等に進学した選手の状況につきまして、競技団体がこれまで以上に情報を把握する仕組みをつくって連携を図っていく、そういうことが大事だろうと思います。  このように、成年の強化にはさまざまな課題がありまして、決して容易なことではないと思いますが、今年度設置しましたスポーツ審議会で議論していただいたり、また県体育協会、あるいは競技団体と連携しながら成年の強化に向けて取り組みを進めてまいりたいと思います。  2点目でございます。三洋電機軟式野球部の評価と今後についてということでお尋ねをいただきました。  現在はパナソニック鳥取野球部となっていますが、三洋電機軟式野球部は平成19年に開催されました第62回秋田国体で優勝しましたし、最近10年間で4回の国体入賞を果たしております。また、天皇賜杯全日本軟式野球大会、いわゆる天皇杯では、本年と昨年の2年連続で優勝するという輝かしい成績を上げておられます。国体におきましても団体競技で大量得点が期待できることもありまして、本県スポーツの競技力維持、そして向上させていく上で欠くことのできない存在だと考えております。  先月28日には天皇杯で優勝されました軟式野球部の選手、監督の皆様が知事を表敬訪問されました。その中で、辻主将は、諦めずに戦ったことが最高の結果につながった、そしてまた三好監督はチームを残すために協力してくれた方への恩返しのつもりで3連覇を目指したいというぐあいに語っておられます。私としても何とか活動を継続することができないかということを思っております。一方、議員は野球のことをおっしゃいましたが、バドミントン部につきましても本年のぎふ清流国体を含めまして3年連続で国体入賞をしておられまして、最近10年間では計4回の入賞ということであります。こちらも軟式野球部と同様に、本県スポーツ競技力の向上にとりまして大切な存在であります。  このように、長年本県におきまして成年の競技スポーツの中心的な役割を担っていただきました三洋電機が事業再編でパナソニックの傘下となり、さらに来年1月から新生テガ三洋工業として210人規模に縮小されるということであります。企業として軟式野球部とバドミントン部への活動支援ができなくなると伺っておりまして、本県スポーツ界にも大きな影響が出てくると思います。  こうした中、競技団体などの関係者がこの軟式野球部とバドミントン部の競技力をクラブチームを立ち上げることなどによって何とか引き継ぐことができないか、現在模索をされておられます。県教育委員会としましても、県体育協会を初め、競技団体とも連携しながら可能な限りの応援をしていきたいと考えております。  3点目でございます。本県での次期国体開催についてお尋ねをいただきました。議員からは、本県での次の国体開催を検討してはどうかという御提案をいただきました。  早いもので、本県で昭和60年にわかとり国体を開催してから27年が経過いたしました。国体は東日本、中日本、西日本ブロック、この3ブロックの順に都道府県の持ち回りで開催されておりまして、現段階で2回目の開催が未定の府県は14府県であり、中国、四国、九州地方の西ブロックでは鳥取県、島根県、佐賀県、宮崎県、沖縄県の5県でございます。  こうした中、日本体育協会におかれましても国体活性化プロジェクトを立ち上げて、21世紀における国体の目指す方向や具体的な改革内容を取りまとめた中間報告をことし6月に発表されました。そして、各組織等に照会を行いながら、来年5月から6月ごろに最終報告がまとまるというふうにお聞きしております。この国体活性化プロジェクトの中間報告では、例えば実施形態としまして毎年開催をすること、都道府県持ち回り開催、都道府県対抗、開催県フルエントリー、こうしたことについては当面変更しないという方針とした上で、具体的な改革案として、ジュニア世代の充実ということで少年別の参加人数、チーム数をふやすことや、少年種別の年齢区分を見直すこと、また、実施競技及び各競技の実施規模等の見直しということで、毎年実施する競技を少なくし、隔年実施競技をふやすことによって、各競技、種別の参加人数及び参加県数を見直すということ、また表彰制度の見直しということで、総合表彰における天皇杯、皇后杯の順位決定方法をシンプルでわかりやすいオリンピックの金メダル方式にするというような提案がなされております。  こういう中間報告に対しまして、各方面からさまざまな意見が出てきておりまして、中間報告で示された今後の国体のあり方がそのとおりになるかどうかはまだ未定であります。現に11月2日に開催されました全国の都道府県の担当者を集めました会議におきまして、日本体育協会からはオリンピックのような金メダル方式による表彰制度見直し案は撤回するというようなことも出てきております。  このように国体の方向性が定まっておりませんので、教育委員会としましても今後の日体協の国体活性化プロジェクトの検討状況を注視してまいりたいと考えております。あわせて、西日本ブロックで開催されることになりますのは平成35年の第78回大会であります。今から11年後になります。申し上げましたように、西日本ブロックで開催していないのは、本県、島根県、宮崎県、佐賀県、沖縄県でありますので、そういうところがどのようなことを考えていらっしゃるのか、まずは情報収集を始めてみたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)33番藤縄喜和議員 ◯33番(藤縄喜和君)御答弁いただきました。  ジオパークについては、ハードの部分のメーンセンターということが大きなことになると思っておりまして、知事おっしゃるように、これは非常に難しい。ツーヘッドという案もしかりかなというふうに思っておりますので、これ以前も稲田議員がやるならとことんという表現で言っておられましたけれども、やはり大きなセンターをということを眺めておいていただければなと。当面はツーヘッドで頑張っていただければと思っております。  それと、小さいことかもしれませんけれども、先般3月、山陰海岸学習館のトイレが改造になりました。会館の中のトイレしかなかったのが、今、非常にすばらしいトイレが別棟でできております。あちらこちらのスポットでトイレのことを耳にするものですから、以前から非常に気になっておりまして、ちょっと協議会のほうに、県内だけではないと思いますので、トイレ整備について非常に印象が大きいものの一つだと思っておりますので、このことを調査するなり対応していただければと思っております。  それと、国際的取り組みをということが大きな課題になっております。27年のアジアパシフィックもそうでありますが、また一方で、国内のほうも重要なことがあるのではないかと。一つは、山陰海岸国立公園が来年50周年になりますので、これも審査に影響する可能性もあるというふうに私は思っております。これにどう取り組んでいくのか、充実した取り組みをするべきだと思っておりますけれども、このこともお尋ねいたします。  国の所管官庁については働きかけていただけるということで、一緒に力を注ぎたいと思っております。東京に福間議員、銀杏議員、また豊岡、美方郡、京丹後の議員と一緒に議員の会で行きました。その折には、日本GGNの地域の国会議員の皆さんで議員連盟をつくるといった意見も出てきましたし、エコツーリズム推進法というのが平成19年にできておりますけれども、かぶるところはあると思いますけれども、ジオパークの国内法の整備ということも話に出てきました。これを一生懸命言っておられたのは石破代議士であります。何とか国内法の整備をと思っておりますので、御見解をお伺いしたいと思っております。  尾池委員長に会った折に、山陰海岸がジオパークに認定されたのは、平井知事が頑張られたのですよということを言っておられました。ゾウロスさんとも話ができて、私にとってはこれからの活動に非常に参考になる会議だったと思っております。  先ほど、知事が修学旅行のことを言われましたけれども、豊岡、中貝市長にお目にかかったときに、豊岡は既に2~3校修学旅行の誘致を決定して、もう来ておられるのか、ちょっと確認しておりませんが、既に修学旅行を誘致しておるということでありますので、鳥取県もそのことに力を注いでいただきたい。先ほど言いました自然教育の元祖としてのジオパークということで、体験型の有効な手法になると思っておりますので、修学旅行のことをお願いしたいと思っております。  以上、答弁をお願いします。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤縄議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  まず、大きなハード設備もある程度視野に入れるべきではないかというお話がございました。  先般、島原のほう行ってみましたけれども、確かにかなり立派な施設が他のジオパークにはあります。ただ、2年後のことでもございますし、まずは今あるものを生かしながら磨きをかけるほうが手っ取り早いかなと思います。実は、岩美町のサイトについて言えば、隣に町の施設がございまして、まずはここを一体として考えていただけるようにして、機能アップを図るのがよいのかなという印象を持っております。  いずれにいたしましても、これも広く御意見を伺いながら、こうした施設整備については今後とも検討してまいりたいと思います。  次に、トイレの状況調査というお話がございました。これについては文化観光局長からお答えを申し上げたいと思います。  また、山陰海岸国立公園の50周年の記念事業についてのお尋ねがございました。  ちょうど来年度が山陰海岸国立公園の指定50周年に当たります。先般も環境省のほうに要請活動に行きましたけれども、50周年の記念事業をぜひやってもらいたいということを申し上げましたが、国のほうも非常に前向きでありました。選挙が終わった後、これからどういう枠組みができ上がるかわかりませんが、この問題についてはぜひ働きかけをしてまいりたいと思います。  片方で兵庫県、京都府にも呼びかけをいたしております。海岸自体は両府県にもまたがるところでございますので、そういうことで参加を呼びかけております。今、大体の方向性としては、鳥取市内をメーン会場にしてやってはどうだろうかと。それで、ほかの山陰海岸国立公園の各地域ともある程度結びつけながらイベント展開できたら、山陰海岸ジオパークの情報発信にもなるかなというふうに考えております。時期的には国立公園の指定時期もございましたので、それから50年目というと来年の夏休みごろを目途に調整してみようというふうに考えております。  いずれにいたしましても、総選挙後に新しい環境省の体制が整ったところで改めて相談をしてまいりたいと考えております。  次に、国内法の整備等につきましてお尋ねがございました。国内法というものがないということでありまして、エコツーリズムの推進の法律ができたところでありまして、我々のほうでも国際大会を来年やろうとしております。それとあわせて、このジオパークの推進の何か法的な枠組みが必要ではないかということでございます。  先ほど申しましたように、パトリック・マッキーバーさんがコメントをされておられましたのは、ジオパークは今ユネスコの支援事業となっていますが、ユネスコの正式事業に昇格をさせると。これを今、国際的にはジオパークネットワークのほうで求める運動が始まっています。次のタイミングとしては年度明け、来年の春ごろ、5月前後にユネスコのほうでの会議も持たれますので、そこで改めて議論がされるかもしれないと思っています。これができますと、例えば世界遺産であるとか、それから記憶遺産と言われるようなもの、福岡の鉱山の絵が記憶遺産になりました。こうしたものと並ぶカテゴリーで世界ジオパークネットワーク加盟のジオパークが位置づけられるということになろうかと思います。これはステータスが上がることにもなりますし、日本としてもぜひその方向を目指してもらいたいと思います。  私どもも国のほうに要請活動をさせていただきました。もしこれが実現すれば、当然ユネスコの組織にもかかわることになりまして、ユネスコについては国内法がありますから、何らかの法的表現がジオパークについてもなされる可能性が出てくるのかなというふうに考えております。一つ一つ手順を踏んでやっていかなければならないことだと思いますが、私どもとしてもジオパークというものの価値ですね、世界的に普遍な価値がございます。これを関係各国、あるいは国内の各地域と一緒にぜひ昇格を目指して運動してまいりたいというふうに思います。  尾池先生やゾウロス先生のお話がございました。我々としてもその指定のときにはかなり頑張ってやったわけでありますが、尾池先生やゾウロス氏の指導もありまして今日まで至ったところであります。ゾウロス先生はエーゲ海から、このたび11月も新温泉町のほうに来られまして、そのときにメッセージを残されたわけでありますが、指定後の2年間で本当に山陰海岸ジオパークは変わったというふうにコメントを残されました。それで、世界の他のジオパークのモデルになるのではないかと、そういう指摘をされておられます。私どもは3府県にまたがるということで、折り合いをつけたりするのがなかなか大変な面がありましたが、逆にそれをばねとして、関係地域で今までにない取り組みを集中的にやっていることの評価もいただけたのかなと思います。そういう意味で、かつて指定の際にお世話になりましたけれども、そういう皆様方の教えを教訓として2年後を目指して再挑戦を図ってまいりたいと思います。  修学旅行を誘致するように活動すべきではないかというお尋ねがございました。豊岡市の例を挙げられました。  実は鳥取県でも修学旅行とか教育旅行と言われる分野でありますが、学校の旅行等誘致をしようと、いろいろと旅行エージェントも交えて活動もしてまいりました。残念ながら大規模なところがなかなか実現しない状況もあります。関金地区とか熱心に地域でも受け入れを考えておられるところがございますけれども、宿泊のキャパシティーの問題とかそういうところで、最終的にとんとんと話が進んでいないところではあります。  ただ、県内では非常に顕著な例だと思いますが、岩美のあたりは民宿もございまして、そちらのほうで今10校ぐらい受けておられます。要は夏の臨海学校と以前から言われているような部類でございますけれども、そういう受け入れが進められてきております。中には兵庫県の西宮のほうの高校のように毎年のようにやってくるところもございます。そういう子供たちにとって体験すべきことはジオパークの中にあふれ返っていますので、教育上のいい素材も提供できると思います。これからも粘り強く、こうした修学旅行や教育旅行の誘致を観光関係業界の皆様と一緒になりまして働きかけをしてまいりたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)補足答弁を求めます。  細羽文化観光局長 ◯文化観光局長(細羽正君)それでは、山陰海岸ジオパーク内のトイレの整備の状況について、補足の答弁をさせていただきます。  山陰海岸ジオパーク内のトイレの整備状況につきましては、山陰海岸ジオパーク推進協議会のほうで昨年度、今年度にかけてモニタリング調査の一環として整備状況の確認がされております。このモニタリング調査の対象となっておりますのは、このジオパーク内全エリアのジオサイト、これは約140カ所ございます。その中で鳥取県の関係でいいますと、鳥取砂丘でありますとか城原海岸、鴨ヶ磯海岸、白兎海岸等々37カ所ございます。そのうち、そのエリア内、あるいはその近辺にトイレがあるというところが27カ所あるということで、残りの8カ所は少し遠いところでないとないということであったように伺っております。  こういった調査結果も受けまして、再度関係の機関の方とトイレの整備状況を確認いたしまして、お客様に不便がないようにということで、今後トイレの整備についても目配りをしていきたいと思っております。 ◯議長(伊藤美都夫君)33番藤縄喜和議員 ◯33番(藤縄喜和君)答弁いただきました。  27年のAPGNも決まったことでありますので、何としても再審査をゲットするということでいっていただきたいと思っております。  教育長にお尋ねいたします。  成年層への対策は4点の中で3番目、クラブチームの充実ということを言われましたが、これを成年対象ということですが、具体的なお考えがあればお聞きしたいと思っております。  三洋電機の野球部については、教育長から欠くことのできない存在であると、継続できないかと思っておると、クラブチームであるとかそういった可能な応援をしたいということでありますが、どういったことで応援を想定されておられるのか、お聞かせいただければと思っております。  いずれにしましても、選手の会社の後の状況を調査していただいて、何らかの手だてをしていただきたいというのが思いであります。  先般、野球部のOBの関係者の方と話す機会がありました。これまでの実績をつくるには大変な苦労、頑張りがあったのがよくわかりまして、その中で三好監督が言われたように、3連覇したいと、どんな状況になっても頑張るという意志を持っておられますので、手だてを考えていただきたいというふうに思っております。来年は島根県で天皇杯、東京で国体がありますけれども、これにも鳥取県に貢献したいというふうに言っておられますので、何とか教育長の温かい気持ちをお伝えいただければと思っております。  国体についてですけれども、日体協がいろいろとプロジェクトで国体改革をしておられるということは承知しております。さまざまな意見があって決まってはいないけれども、注視していきたいということですけれども、鳥取国体が決まったのは10年ぐらい前なのですね。昭和60年ですから、昭和50年とか49年のあたりに決まったと伺っておりまして、10年はかかると言われております。これは競技団体とのいろいろな調整であるとか、市町村との調整であるとか、そういったことがあって10年はかかると言われておるのです。ですから、日体協の改革プロジェクトの状況はわかりますけれども、教育長が鳥取県でやりたいと思っておられるのかどうかをまず聞きたい。その思いがあるかどうか。いずれにしても回ってきますよ、改革プロジェクトの結果がどうであろうと。その一つの案として鳥取と島根との共同開催などという話も考えられるわけですけれども、2巡目を鳥取県がやるという前提で思いがあるのかどうかをまず聞かせていただきたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)お答えいたします。  私のほうからは、成年の強化の対策として4点上げまして、その中でクラブチームの充実、強化、支援ということをお話をいたしました。やはり、関係者はこの三洋の野球、そしてバドミントンがこれまで県内に果たしてきた役割、そしてまた選手の強化の上での大切さ、それはよく理解していらっしゃると思います。だからこそ何とかこのチームをクラブチームとなっても保っていきたいという議論が出てきているのだというふうに思います。  ただ、これは当然県が丸抱えしてということになりませんので、県がどんな支援ができるのか、あるいは当然体育協会もかかわってきましょうし、競技団体とか、あるいはスポンサーも要るかもしれません。今そういう声が上がってきているところでありますので、その声を体育協会を中心にして議論しながら、何とか形としてまとめていきたいというふうに思っております。その際、選手として活躍された方々がどのような進路になられるのかということを踏まえながら、対策をとっていく必要があると思います。  続きまして、日体協のプロジェクトはさておいて、平成35年度回ってくるときにどうなのかということがございました。  実は日体協の案に対しまして、他の団体から出ている意見としては、高校のインターハイのようにブロック開催ができないかという意見も出ております。高校のインターハイも各県開催から変わりまして、今ブロック開催で、ことしは新潟を中心とした富山、福井、長野等で行われました。そういうことにならないかという議論もあります。そういう流れもしっかり押さえていく必要があると思いますが、ただ、一般論としてわかとり国体のときのことの状況を思えば、鳥取県が燃えた、県民が一つになったということであれば、ぜひそういう環境は私はつくっていきたいと思います。  ただ、そのときどういう状況になっているかわかりません。議員も島根との共同開催ができないかということをおっしゃいましたけれども、実際問題そういう議論も出てくるのではないかと思います。ですから、次の35年には残っているけれども、我々の中でもまずやりたいという気持ちを持った上で近くの県と話し合ってみて、効果的なことができないかどうか考えてみていく、そういうことも大事ではないかと思います。ただ、当然私の一存でできることではございませんので、まずは見通しを持ちながら知事等とも話をしていきたいと思っております。 ◯議長(伊藤美都夫君)33番藤縄喜和議員 ◯33番(藤縄喜和君)国体については、だから議論をスタートさせてください。来年の5月、6月に報告があるでしょうから、それを受けたら、それをもって教育長が議論の先導者になってほしいということなのです。一人では決められませんけれども、まずは声を出すのを教育長にお願いしているのです。いかがですか。 ◯議長(伊藤美都夫君)答弁を求めます。  横濱教育長 ◯教育長(横濱純一君)お答えいたします。  声を出すのは簡単です。やります。だけれども、私の声だけではできません。でも、議員がおっしゃるのは、今後のあり方について教育委員会がリードをして流れをつくっていけということだと思っておりますので、そういう気持ちを持ちながら皆さんと相談してまいりたいと思います。 ◯議長(伊藤美都夫君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後4時21分散会    ────────────────...